保険金受取の時効は何年!?心得ておきたい未請求防止の対応策

日本では、身内でもお金の話はタブーと思う人は多いです。年収や資産だけではなく、保険金についても子どもは親から知らされていなく、親が亡くなって遺産整理をしていたら証券が出てきて初めて知ったというケースもあるのではないでしょうか。

万が一に備えて、子どもにお金を残したい想いで加入した保険も、その存在を誰も知らなければ1円も受け取ることはできません。そもそも生命保険の請求には時効があるのです。せっかく支払った保険料をムダにしないためにも、保険金の未請求を防ぐ対策についても見てみましょう。

目次

保険金の未請求はどのくらいあるのか?

2015年12月の毎日新聞では、保険金受取人の死亡や高齢化で連絡が途絶えている等の要因で、保険会社各社の調査では20億円規模の未払いを確認されたとの報道でした。支払われたものも一部あるようですが、当時は額の大きさに驚きました。また産経ニュースによると、明治安田生命保険が高齢の顧客8万8,000人に対して調査をし、死亡保険金や入院給付金が請求できるのにされていなかったケースが2017年7月に247件も見つかったそうで、現在も支払い手続きを進めているようです。ではその保険金はいつまで請求できるものなのでしょうか?

保険金を請求する上での時効は何年なのか?

保険法の第95条第1項に、「保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条または第九十二条に規定する保険料積立金の払い戻しを請求する権利は、三年間行わないときは時効によって消滅する」ということが定められています。いわゆる一般に保険金の請求は、3年を経過するとできなくなるということです。

具体的には死亡保険金は亡くなった日の翌日、病気や事故での入院、手術をした翌日からのカウントから3年以内となります。ただ3年を過ぎてしまった場合でも、保険会社のカスタマーサービスセンターまで問い合わせをして、状況によっては対応できるケースもあるようです。気づいた時点で諦めずに問い合わせが必要です。

保険金の未請求に対して金融機関ではどのように対応しているのか?

保険学雑誌 第630号『生命保険会社の積極的な被保険者生存等の調査義務~アメリカにおける死亡ファイルとの照合義務を中心に』にてアメリカのケースを見てみましょう。アメリカでは未請求資産法のため、現金資産など所有者が不明の場合には金融機関から州政府に移転となり、権利者が請求に現れた場合には州が払い戻しを行うルールとなっています。保険金においても一定期間に請求がなかった場合は同様ですが、死亡マスターファイルと照合する義務するかの法整備が対応されているようです。

実は日本でも東日本大震災の際に、各保険会社は死亡者リストと照合し、契約がある保険金受取人に対して保険金請求の案内を行ったのですが、あくまでも特別措置とされています。マイナンバー制度が民間企業では使われていませんが、将来的に利用可能となった際には、定期的に死亡データとの照合や保険金受取人への請求推奨なども容易になるかもしれません。

今現在の保険会社の対応として日本生命に確認してみたところ、70歳以上のご契約者には、家族連絡サービスの登録の推奨をし、保障内容の把握フォローとともに、保険金受取人への連絡がスムーズにいくような取り組みもされてるとのことでした。しかしこの対応だけで保険金の未請求の減少には効果的とは思えないため、加入者自らがどのような対策をしたら良いのでしょうか。

保険の未請求を防ぐための3つのポイント

保険料が毎月引き落としになっている場合には保険に加入している認識がありますが、払済や一時払いで保険料の払い込みが終了している場合は忘れがちです。保険会社も変更されている場合などもありますので、毎年郵送されるご契約のお知らせなどを必ず開封してチェックすること等も含め、以下3つのポイントをオススメいたします。

  1. 保険証券の整理をする。証券紛失している場合は再発行手続きをする。
    また保険加入している内容を家族や親族、信頼おける友人などに共有しておき、証券保管の場所なども伝えておく。
  2. 住所や電話連絡先は変更したらすぐに保険会社や代理店に連絡する。また結婚して改名した場合にも都度連絡をする。
  3. 毎年の『契約のお知らせ』は開封して必ず中身をチェックする。その際に去年のお知らせは破棄する。特に親が高齢になってきたら、家族がコミュニケーションを取りながら積極的にサポートしてあげると良いでしょう。

人間歳を取ると理解能力も落ちて忘れがちになるため、生命保険の内容もできるだけ高齢になったらできるだけシンプルなものにしていき、1年に1回の『契約のしおり』は確認しましょう。よくわからない場合には、加入している代理店や最寄りのFPにサポートを頼んでも良いと思います。

日頃FP相談をしていると、安心のために保険に加入するものの、加入した後にはどんな保障が支払われるのか等、忘れてしまう人が多いと感じます。自らが保険料を払って保障を買っているのですから、保険金の未請求にならないよう、コミュニケーションを取りながら情報を共有しあっていって欲しいと思います。

参考

  • 保険学雑誌 第630号
    岩本太志「米国における未請求資産管理と保険金不払い問題」生命保険経営第81巻第2号52頁以下(2013)
よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

大手損害保険会社を経た後にFPとして独立し、現在は企業研修やマネーセミナー講師、個人相談、執筆等で活躍する。女性がいつまでもキラキラ輝くための「稼ぎ続けられるキャリア形成&一生活用できるマネー知識」の普及を推進中。K’sプランニング

K’sプランニング

目次
閉じる