生命保険は健康体割引から健康増進型へ!?

タバコを吸っていない、健康状態が良好など、いくつかの基準をクリアすると保険料が安くなる健康体割引。これと並行して、最近、加入後に健康を増進するアクションをすると保険料が割り引き(割増になることもあり)になったり、キャッシュバックされたりする健康増進型が登場してきました。健康体割引と健康増進型との違い、健康増進型にはどのような商品があるのか調べてみました。

運動や禁煙で保険料を安く…「健康増進型保険」各社が投入

《概要》生命保険各社が、運動や禁煙などで生活習慣や健康状態が改善すると、保険料を安くする「健康増進型保険」を次々投入している。

目次

健康体割引と健康増進型の違いとは?

健康体割引は、主に、定期保険と収入保障保険で適用されている保険料率です。喫煙歴(1年または2年以上、タバコを吸っていない)、血圧値、BMI値(身長と体重のバランス)、血液中の成分、運転歴など、商品ごとに基準で保険料を決める仕組みで、3~4段階の料率を設けています。タバコを吸わず、健康状態が優良なことが最も安くなります。

これは、保険契約時点で健康な人は、そうではない人と比べて保険金を支払うリスクが小さい分、保険料を割り引くという考え方です。考慮されるのは、あくまで契約時で、契約後に数値が悪くなっても保険料が上がることはありません(更新タイプは別)。

対して、健康増進型は、加入時の健康状態を考慮する商品もありますが、契約後に、より健康になるためのアクションをして増進に努めると保険料が割り引かれたり、キャッシュバックされたりするものです。何もアクションをしなかったり、数値が悪くなったりすると保険料が上がる商品もあります。つまり、このタイプは契約後の健康管理の状態に重きを置いているということです。

この条件に該当するのは、東京海上日動あんしん生命の「あるく保険」、ネオファースト生命の「健康年齢」、住友生命の「バイタリティ」、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「健康チャレンジ制度」の4つです。それぞれの概要を見ておきましょう。

なお、第一生命の「健診割(健康診断割引特約)」も、健康増進型に含める場合もありますが、これは、健康診断書を提出すると保険料が割り引かれるもので、健康体割引に近いと判断し、健康増進型から外しました。

「あるく保険」…東京海上日動あんしん生命

1日平均8,000歩以上歩くと保険料の一部がキャッシュバックされる

入院と手術・放射線治療を一生涯保障する終身医療保険に、健康増進還付金特約をつけた保険です。1日平均8,000歩以上歩くと、半年ごとの達成状況に応じて、2年ごとに保険料の一部がキャッシュバック(健康増進還付金)されます。平均歩数は、同社が定めるウェラブル端末(貸与してくれる)と、本人のスマートフォンに「あるく保険」アプリをダウンロードしてペアリングした上で計測を行います。

2年ごとに、各種給付金を受け取っていない場合に無事故給付金を受け取れるタイプもあります。

1日8,000歩をコンスタントにこなしている人、何かのきっかけで1日8,000歩以上を実現したい人にはいいかもしれません。

「健康年齢」…ネオファースト生命

健康年齢が若くなるほど保険料が安くなる

健康年齢とは、現在の健康状態を年齢で表した新たな指標で、「ネオ de けんこうエール(特定生活習慣病入院一時金付保険)」と「からだプラス(7大生活習慣病入院一時金付保険)」に導入されています。契約時に、健康診断や人間ドックの結果をもとに、BMI値や血圧、尿検査、血中脂質、肝機能、血糖値などの数値で健康年齢を算出し、その健康年齢(上限は実年齢+5歳、下限は18歳)で保険料が決まります。健康年齢が若いほど、保険料は安くなります。

契約後、3年ごとの更新時に健康年齢を算出し直し、更新後の保険料が決まります。このときも、若いほど保険料が安くなります。しかし、健康年齢が上がれば保険料は高くなります。

3年ごとに健康年齢を算出されるので、健康管理・増進行動に気を抜けません。

「バイタリティ―」…住友生命

健康増進の取り組みに応じて、毎年、保険料が増減する

健康増進乗率適用特約を付加した保険契約に加えて、バイタリティ健康プログラム契約を結びます。特約は、総合保障タイプと医療保障タイプにつけられます。契約時に、特約+健康プログラム契約締結で保険料が15%引きになります。その後、健康増進の取り組みに応じてポイントが付与され、1年ごとにポイントを累計してステータスを判定し、翌年の保険料の割引・割増率が決まります。ステータスと割引・割増率は以下の通りです。

  • ブルー…+2%
  • ブロンズ…±0%
  • シルバー…-1%
  • ゴールド…-2%

割引の上限は30%、割増の上限は10%です。これも、健康増進の取り組み内容によって、毎年、保険料が上下するので、健康管理・増進行動に気を抜けません。

なお、保険料の他に、バイタリティ健康プログラムの利用料が月864円かかります。

「じぶんと家族のお守り」健康チャレンジ制度…損保ジャパン日本興亜ひまわり生命

健康チャレンジに成功すると保険料が安くなり、祝金ももらえる

契約時に最安値の非喫煙健康体に該当しなかった場合、契約日から2年経過後~5年以内に健康チャレンジができる制度です。チャレンジが成功すると(成功パターンは下記)、保険料率が変わり、以降の保険料が安くなります。

  • 標準体 ⇒ 喫煙者健康体、非喫煙者標準体、非喫煙者健康体
  • 喫煙者健康体、非喫煙者標準体 ⇒ 非喫煙者健康体

また、契約時からチャレンジ成功までの期間の保険料の差額が健康チャレンジ祝金としてキャッシュバックされます。

健康チャレンジに失敗してもペナルティはありません。現在の保険料を払い続ければOKです。なお、最安値の非喫煙者健康体になるまで、契約時から2年経過後~5年以内、前回のチャレンジから1年以上経過していれば、最大3回チャレンジできます。

「じぶんと家族のお守り」以外に、定期保険にも、この制度をセットできます。

チャレンジに成功すれば、契約時から安い保険料で加入していたことになるので、チャレンジしてみる価値はありそうです。

まとめ

健康増進型は、保険種類もしくみもバラバラです。健康増進のためのアクションは、保険料の割引やキャッシュバックというご褒美がないとできないという人にはいいかもしれません。ただ、健康増進できなければ保険料が割増になる商品があることには要注意です。

なお、2019年4月に、明治安田生命も健康増進型の新商品を発売する予定で、この分野は1つのジャンルとして広がりを見せそうです。

参考

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この記事を書いた人

1994年、ファイナンシャルプランナー資格取得。その後、独立系FPとして、長年にわたって携わってきた一般誌やムック、単行本などの編集・ライターの経験を活かし、マネー系記事の執筆・監修の他、セミナー講師として活動。最近は、終活や生前整理など、人生のしまい方にもフィールドを広げている。

複雑でわかりにくい保険や社会保障制度など、身の周りのお金に関する様々なコトを「わかりやすくひも解く」がモットー。

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