自転車の「赤切符」急増。兵庫県では自転車保険の加入を義務づけへ!?

全国で交通事故は減る傾向にある中、自転車による対歩行者の事故はじわじわ増えています。警察が自転車の道路交通法違反に厳しく対応し始めたことで、道路交通法違反行為に対して交付される交通切符、いわゆる「赤切符」の交付も急増。自転車の交通ルールが徹底されつつあります。

自転車「赤切符」急増7716件…8年で30倍

自転車による歩行者を巻き込む事故が増える傾向にあり(2014年には2551件)、警察庁では取締りを強化している。自転車での道交法違反行為に対して「赤切符」が切られた件数も2014年には7716件となり、2006年の約30倍に急増。

違反の中身は、信号無視4149件、遮断機が下りた踏切への立ち入り1295件、2人乗りなど乗車・積載違反851件など。赤切符といえども、悪質な場合は略式起訴され罰金刑になることもあり、前科として残る。

自転車の運転には運転免許が必要なわけではなく、誰でも運転が許されています。しかし、交通ルールを守らず危険な運転をすることは許されません。事故を未然に防ぐ意味でも、全国で自転車の違反行為の取締りが強化されています。

道交法が改正され、2015年6月からは、赤切符を3年以内に2回以上切られるなどした14歳以上の違反者には、安全講習の受講が義務づけられることになります(講習を受けない場合は5万円以下の罰金)。

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兵庫県が日本で初めて保険加入を義務化!?

そんな中、兵庫県では日本で初めて自転車保険の加入を義務化する見込みです。

兵庫県といえば、2008年に、歩行中の女性に小学生の自転車が衝突する事故が起き、約9500万円の損害賠償が命じられたことでも知られます。お膝元で起きたこうした事故の影響もあり、他の自治体に先駆けて取り組んできたようです。

自転車保険、年間1000円で 加入義務化の兵庫県がプラン

兵庫県は、日本で初となる、自転車に乗る人に保険加入を義務づける条例を審議中。自転車保険のプラン内容や保険料案も固まり、保険料年1000円で補償額の上限が対人・対物ともに5000万円、保険料2000円で補償が1億円。補償範囲は「同居中の親族」となる模様。

県によると、同程度の補償内容の民間保険だと年4000~5000円程度とのこと、加入が広がると期待されている。条例が承認されれば、4月から自転車販売店などを通じて募集する予定。

賠償責任補償のほか、死亡補償や入院補償、通院補償が付くのかなど、まだ兵庫県モデルの自転車保険の補償内容の詳細がわかっていませんが、「安い」ことは確かなようです。

仮に兵庫県で自転車保険への加入が義務づけられても、罰則も罰金もありませんが、自転車を購入する時に、「県の条例で加入が義務付けられています」と言われれば、多くの人は加入するはず。すでに自転車に乗っている人で無保険の人も、加入を検討することでしょう。県の予想通り、自転車保険の加入は広がると思われます。

あなたはどうする?自転車保険に加入する?

自治体による自転車保険義務化の動きは、兵庫県を皮切りに、全国的に広がっていくかもしれません。また、官制の自転車保険が安く提供されれば、無保険の世帯を減らすこともできるでしょう。

それはとてもよいことなのですが――。

個人的に気になるのは、それによって補償のダブりが起きてこないか、ということです。自転車保険の柱となる補償は賠償責任補償(個人賠償責任保険)ですが、この補償は自動車保険や火災保険、傷害保険、共済などに特約で付けていたり、あるいはクレジットカードの会員限定で加入しているケースもあります。

個人賠償責任保険の被保険者は「生計を共にする同居の親族」ですが、世帯主が契約すれば子供(生計を共にする別居の未婚の子も含む)が起こした事故も補償されます。

それを知らずにいると、ついやってしまいがちなのは、家族の1人が特約などで個人賠償責任補償を付けているのに、自転車保険に加入して賠償責任補償がダブってしまうこと。保険料が安いからと、家族が1人ひとり自転車保険に入ったりした場合にはさらに補償がダブります。

義務化されたからと言って、「とにかく入ればいい」と考えず、家族の補償をトータルで組み立てることが大事ですね。

参考

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この記事を書いた人

経済誌・経営誌などのライターを経て、1994年より独立系ファイナンシャル・プランナー。FPラウンジ 代表。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の記事や記事監修などを行っている。95年、保険商品の全社比較を企画・実行して話題に。「保険と人生のほどよい距離感」をモットーに保険相談に臨んでいる。ライフワークとして大人や子どもの金銭教育にも携わっている。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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