2015年、介護保険制度に大きな変化が。「介護費」への備えがますます手を抜けない時代に!

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、5人に1人が75歳以上となり、未曽有の「大介護時代」が到来します。介護保険制度の持続可能性を実現するため、また、公平性という点から、2015年度の介護保険制度の見直しでは、一定以上の所得のある層の負担が引き上げられ、低所得層の負担軽減が拡充されました。

2015年度の介護保険制度の変更点を整理するとともに、ちょうど重なった保険料の見直しや介護報酬の引き下げなどについても押さえておきましょう。

介護保険制度、どこが変わった?

介護保険制度の今年度の変更点で押さえておきたいものとして、次の5つが挙げられます。1、2は4月より既に変更され、3~5は8月からの変更です。

1・要支援の訪問・通所介護が自治体サービスへ

「要介護」認定を受けた人が、一定範囲で費用の軽減を受けて介護サービスを受けられるのが介護保険です。「要支援」は生活支援が必要な状態で、さまざまな介護予防サービスが利用できます。

利用できるサービスのうち、訪問介護と通所介護については、遅くとも2018年3月までに自治体が行う「地域支援事業」に移されることになりました。訪問介護は自宅での入浴や掃除、料理をサポートしてもらうサービスで、通所介護は施設に通ってリハビリを行ったり入浴介助をしてもらうサービスです。

そのため今後は、要支援の認定を受けても、市区町村によって、利用できるサービスや費用についてばらつきが出てきます。

2・特養入所は要介護3以上に

介護保険施設である「特別養護老人ホーム」(以下、「特養」)は利用者52万人に対し同数の待機があります。そのため、2015年4月より新規入所する人は、原則、「要介護3以上」となりました(ただし、要介護2以下でも、事情によっては入所できることもあるようです)。

3・特養の部屋代等の補助認定が厳密化

特養等に入所した場合、低所得層は食費や部屋代が軽減されています。この軽減は、住民税の課税対象かどうかなど所得で判断されていましたが、これまで収入に加えられていなかった遺族年金や障害年金もカウントされ、夫婦で世帯分離をしても配偶者に住民税が課税されている場合は軽減されなくなります。また、所得は少なくても、金融資産が多い人も対象外になります。夫婦で2,000万円超、単身で1,000万円超がラインです。

4・所得が一定以上は利用時の負担が2割に

介護サービスの利用は、現行では要介護度に合わせて設定されている上限額までなら全員「1割負担」で利用できます。これが、8月から目安として年金収入で280万円以上の人は自己負担が「2割」になります。

5・「高額介護サービス費」も所得区分が増加

高額介護サービス費とは、同じ月に支払った公的介護保険サービスの自己負担額が一定の上限を超えたとき、その超過分が戻ってくる仕組みをいいます。自己負担額は、現在のところ1割ですが、前項で「2割負担」の人もいることから、8月からは所得区分がもう1つ増える予定です。

 

■高額介護サービス費制度 自己負担額の上限額

住民税世帯非課税等 24,600円(世帯)
年金収入80万円以下等 15,000円(個人)
一般 37,200円(世帯)
現役並み所得相当 44,400円(世帯)

保険料は値上げ、介護報酬は引き下げに…

介護保険制度に大きな変化があった一方で、3年に1度の改定の年でもあり、介護保険料もアップしました。介護保険は利用者が増えれば増えるほど保険料が上がる仕組みですから、上がるのは当然のことと言えます。

介護保険料6,000円超の自治体が3割  65歳以上の月額

朝日新聞社が行った政令指定市と県庁所在市、東京23区の74自治体にアンケートの結果、2015年4月以降の介護保険料は、基準額が月6,000円を超す自治体が増える。最高額は大阪市の6,758円。他にも、和歌山市(6,600円)、青森市(6,394円)、東京都港区(6,245円)、津市(6,200円)、那覇市(6,150円)など、21自治体が6,000円台に。

据え置き・減額となるのは3自治体のみで、現在と比べて500円以上上がる自治体は45。大津市(1,000円)、東京都港区(995円)、横浜市(990円)など大幅値上げとなる自治体もあった。高齢者の急増で介護保険の給付費は膨らみ続け、2000年度の3.6兆円から2014年度は10兆円に増え、今後も増える見込みだ。

消費増税が先送りされたことで、低所得層の保険料負担軽減が一部を除いて先送りされましたが、厚生労働省の推計では、2025年には介護保険料が全国平均8,200円程度になるとのこと。毎月の保険料の増加は真綿で首を絞めるようにじわじわと負担になることでしょう。

一方で、4月からの変化として、介護報酬の引き下げも行われました。この引き下げによって、小規模のデイサービス等の閉鎖も相次ぎ、ニュースになりました。

介護報酬、9年ぶり下げ 2.27%減額決

介護サービスの価格の基準となる介護報酬が2015年度から9年ぶりに2.27%下げることが決まった。マイナス改定で、利用料や保険料の負担が軽くなる半面、事業者の収入は減る。人材不足を解消するため、全産業平均に比べ10万円低い職員の賃金を上げるべく、賃上げで1.65%分(千数百億円)を回す。これによって、介護職員の賃金は平均1万2,000円上がる。サービスの単価は平均4.48%下げる。特養やデイサービスは利益率1割前後ともうけが大きいため、大幅に下げる。

介護報酬の引き下げで、職員の賃金がさらに下がっては質の低下が進むのではと心配でしたが、職員の賃金はむしろ上げる方に予算が取られているようです。

介護資金の備え手を抜けない時代

生活者の立場で考えた場合、介護保険に関して言えることは、今後間違いなく、保険料もサービスを利用する際の負担も増えていくと思われること。特に、所得が現役並み以上の人や世帯の負担は、今回の負担増で収まるとは思えません。

また、特養の食費や部屋代の軽減に関して、所得だけでなく金融資産も見られるようになったことが、個人的には気になります。所得が少なくても、資産があれば負担が増える傾向が、他にも広がっていくような気がしてなりません。何より、どんな「制度改定」が行われるかで思わぬ負担増になる可能性もあり、大きなリスクとして認識する必要がありそうです。

いずれにしても、介護は必ず通る道として、要介護期をどこでどう過ごすのか、それにはどれくらいの費用がかかるのか、要介護になったときを想定してしっかり資金を準備する必要があります。貯蓄でも、あるいは民間の介護保険との2本立てでもいいですが(商品は厳選する必要がありますが)、老後資金とは別に介護資金をしっかり用意しておくべきです。

 「どうにかなるだろう」「家族が面倒を見てくれるはず」などの甘い思惑はもはや通用しない時代かもしれません。

参考

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