女性登用数値目標義務付けで死亡保障はどう変わる?

政府は昨年10月、大企業の女性登用について企業自ら数値目標を作り、公表することを義務化しました。現在は10%程度にとどまる女性管理職ですが、積極登用する企業には国の認定制度を利用した補助金を出すなどして、2020年までに30%に増やす目標を掲げています。

こうした動きを受けて保守的に見える大手銀行や生損保会社でも、女性役員が急増しているようです。

大手銀・生損保の女性役員 昨年の3倍14人に

大手銀行や保険会社で女性役員の登用が急増しています。日経新聞によると銀行・生損保の大手金融機関11グループの女性役員数は今年4月1日時点で14人。昨年同時期の4人から約2.8倍に急増しました。特に顧客対応や営業担当での登用が広がっているようです。銀行や生損保会社は従業員や顧客にも女性が多いため、女性役員の登用で、今後さらに顧客へのサービスや女性の働き方の幅も広がりそうです。

顧客も従業員も女性が多い大手金融機関での動きは、今後の女性の働き方や家族の在り方についても大きな影響を与えそうです。今回はそんな女性の働き方の変化が、専業主婦を守るためだった死亡保障の付け方にどんな変化をもたらすか、普段のご相談事例を参考に考えてみたいと思います。

死亡保障は大黒柱が亡くなった時に備える保障だった

長年日本の家族モデルは会社員の夫とそれを支える専業主婦の妻、子ども2人というものでした。公的年金制度や配偶者控除をはじめとする税制の優遇は、昭和の高度成長期に企業戦士を支える専業主婦を守るための制度だったと言えます。

こうした家庭では、一家の大黒柱である夫に万が一のことがあった時、専業主婦である妻が子どもを育てながら生活していくことは至難の業でした。民間生命保険会社の死亡保障は遺族の生活を守るために公的年金制度を補うという形で、一定の社会的役割を果たしてきたと言えるでしょう。

 スタンダード化する夫婦同収入共働き夫婦の死亡保障

ところが、近年結婚をしても子どもを産んでも働き続ける女性が一般的になってきました。ライフプラン相談を受けていると、ご夫婦がほぼ同じ年収という方も珍しくありません。夫婦同等の年収の場合、一方に万が一のことがあっても収入がなくなるわけではないので、死亡保障は必要ないように思われます。しかし、こうした家庭の将来家計を予想してみると、どちらか一方が亡くなった途端に、残された家族が生活に困るケースがでてきます。たとえば夫婦それぞれの年収が400万円ずつだと、世帯収入は800万円から400万円に減ってしまいます。特に教育費がかかるお子さんを抱えている家庭では、半減した収入で教育費をねん出しながら生活していくことは難しくなります。この場合、お互いの収入を補完するために家計費の不足分を賄える死亡保障が必要になります。

また、どちらか一方が住宅ローンを借りている場合も問題です。たとえば夫のみ住宅ローンを借りている場合、夫が亡くなれば団体信用生命保険でローンは完済されますが、妻が亡くなった場合、夫は半減した収入で住宅ローンを払い続けながら子どもを育てなくてはなりません。妻の収入を賄う死亡保障を検討すべきでしょう。

さらに、夫婦二人で住宅ローンを借りている場合は、借入額がどうしても多くなりがちです。一方の収入で返済がまかなえなければ、相手の残高分の死亡保障を付け、住宅ローンを完済することが必要でしょう。

専業主夫の保障モデルもスタンダード化する?

さらに、今後女性の役員・管理職への登用が加速していくと、夫が専業主夫という家庭も珍しくなくなるのではないでしょうか。実際、妻が管理職としてバリバリと働き、夫が専業主夫として家庭を支えている家族のご相談も受けるようになってきました。

こうしたケースでは、妻の扶養に入っている夫も、子どもが高校を卒業するまでは遺族基礎年金を受け取れるようになりました。しかし、その額は年間123万円程。遺族厚生年金を合わせても生活に十分な金額ではありません。また、男性と言えど一度会社を辞めると再就職が難しいことには変わりありません。専業主婦と同様に不足する生活費を補うために、妻が亡くなった時に備える死亡保障への加入が必要でしょう。

 

以上のように、保障の考え方は家族や社会の在り方とともに変化します。しかし、保険の見直しの相談を受けていると、夫婦共働きにもかかわらず従来型の専業主婦家庭をモデルにした死亡保障を付けているケースも少なくありません。それは、「みんなはどのような保障に入っているのか」「保険料はいくらまで払えるのか」という、本来の保障の考え方とは全く別の次元で、保険加入を検討してしまうからだと思います。

家族や社会の在り方が多様化、複雑化する現在、保険に加入する側も売る側も固定観念にとらわれていると、全く必要ない保障のために保険料を払い続けることにもなりかねません。逆に、本当は保障が必要なのに共働きだからいらない、と勝手に思い込み、必要な保障を付けていない、ということにもなりかねません。今後は、「今、家族に万が一のことがあった時、経済的に困る人は誰で、今後の人生にいったいいくらのお金が不足するのか」という視点で、正しい保障の在り方を考えていただきたいと思います。

参考

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