多くの人が犠牲となった昨年9月木曽・御嶽山の大噴火からおよそ9カ月ですが、今年に入ってからも日本中の各地で噴火が起きています。つい先月末にも鹿児島県の口永良部島が大噴火を起こし、島の住民が今も避難生活を強いられています。”災害は忘れたころにやって来る”という言葉がありますが、なんと110か所もの活火山がある火山大国に住む私たちは火山の噴火を忘れる暇がないほどです。
さて、いつ噴火が起きても不思議ではない火山ではあっても、その周囲の町や村には多くの住民が暮らしていますし、休日などには沢山の観光客が訪れるところもあります。
突然の噴火で大けがをしたり或いは死亡したり、住宅や財産を失ったりした時に、私たちが加入している様々な保険はどこまでその損害を補償してくれるのでしょうか。
普段あまり意識することがなさそうな噴火と保険について少し整理してみようと思います。(※すべての保険会社に共通の規程とは限りませんので、実際の検討に当たっては保険会社に確認して下さい)
各種損害保険の補償をチェック
まずケガの補償である傷害保険のパンフレットを開いてみると『地震もしくは噴火またはこれらを原因とする津波によるケガは保険金を支払いません』と記されています。
しかし、他のページには、オプションとして「天災危険補償特約」をプラスしておけば補償されることも記されていました。つまり標準の契約だけでは補償されないのですね。
自動車保険で所有するクルマの損害を補償する「車両保険」についても地震・噴火・津波による損害は補償対象外です。こちらも、地震・噴火・津波特約を追加することで補償されるようになりますが、通常の事故と同じ補償が得られる場合と、補償はされるものの一定の限度が設けられている場合があります。
また自動車保険には搭乗者のケガを補償する人身傷害保険や搭乗者傷害保険がありますが、こちらも「地震・噴火・津波によるケガ」は基本的に補償対象外です。
そして住宅の損害を補償する火災保険については、「地震・噴火・津波」による損害を補償するためには「地震保険」の加入が必要ということは周知されるようになってきたと思われます。とはいえ、家計全体でみた地震保険加入率はまだ全国平均で30%に満たないのが現状ですが。
ケガの治療や財産の損害を補償する損害保険商品では、火山の噴火によるケガや損害は基本的に補償対象外であり、対応する特約をプラスすることが必要なものが多いと分かりました。
これを機会に加入中の損害保険の中身をチェックしてみることをお勧めします。
一方、生命保険商品はというと・・・
それでは生命保険、医療保険など生命保険会社の場合はどうでしょうか?
終身保険や定期保険など死亡時の保障である生命保険と、病気とケガの治療を対象とする医療保険をチェックしてみます。いずれの保険の場合も、保険金を支払わない「免責事項」の中に「地震・噴火・津波」が記されています。(商品パンフレット、契約のしおり、重要事項説明書などに記されています)
やはり生命保険商品でも噴火は保障されないのか・・・と思いきや、現実は少々異なっています。
実は、生命保険商品においてはこの免責が実際に適用されたことは今までないのです。
大規模地震や噴火などであまりにも多くの犠牲者がでてしまい、保険金の支払いが保険会社の許容範囲を超えてしまう場合を想定して、保障しない場合があるとされているのですが、実際にはそこまでの事態になったことはないというわけです。
しかし、ここ数年の大きな地震や噴火の兆候を見るにつけ、この状況が一変することもあるかもしれないですね。少なくとも契約上は「支払わないことがある」となっているのです。
その他様々な免責事項
さて保険には地震・噴火・津波以外にもいくつかの「免責事項」があります。(保険会社が保険金支払いの責を免ぜられる、で「免責」です)
犯罪行為・違法行為、危険を承知で行う行為や重大な過失、戦争、薬物依存による自損事故、放射能漏れ事故の被害などです。大きく分ければ「本人が悪い場合」と「あまりにも甚大な被害が予想される場合」ですね。このような保険の免責項目については、以前はあまり現実味がなく意識もしなかったように思うのですが、最近は、それぞれが結構起こりそうな感じがしませんか?
薬物中毒での交通事故、放射能漏れ、そして、地震・噴火・津波などが他人事とは全く思えないようになってきた日本に、私たちは今暮らしているのです。
いざという時になってから後悔しないように、今加入している保険の契約内容を一度はチェックして見た方が良いでしょう。
参考
- 口永良部噴火:公営住宅入居21世帯決まる…避難住民
//mainichi.jp/select/news/20150610k0000m040112000c.html