法人口座の開設にあたって、昨今利用者が急増している「ネット銀行」。低コストで利用できる点や、時間や場所を問わずいつでも手続きが行える点が大きなメリットです。しかし、店舗型と比べてどんなデメリットがあるのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ネット銀行で法人口座を開設するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
- 振込手数料が安い
- 口座維持手数料が不要
- 24時間365日、どこにいても手続きが可能
- 口座開設がスピーディー
- 比較的法人口座を開設しやすい
- 対面サポートが受けられない
- 通帳がない
- IDやパスワードの管理が必要
- 知名度があまりない
- 引落口座に指定できない場合がある
法人口座をネット銀行で開設する5つのメリット
まず、ネット銀行で法人口座を開設するメリットについて5つのポイントから解説します。
振込手数料が安い
メガバンクや地方銀行などの店舗型銀行の他行宛振込手数料の相場は税込165円〜660円程度ですが、ネット銀行は、同行内であれば振込手数料がかからない銀行もあるほか、他行宛の振込手数料も高くても200円程度。店舗型に比べて安い手数料で利用できる傾向にあります。ここで、保険ソクラテス編集部が厳選した人気の高いネット銀行を4社ピックアップし、各社の手数料を紹介します。
【人気ネット銀行の振込手数料】
銀行名 | 振込手数料(税込) |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 同行内:無料 他行宛:145円 ※振込料金とくとく会員(月額500円)に加入すれば、129円 |
楽天銀行 | 同行内:52円 他行宛:150円(3万円未満) 229円(3万円以上) |
PayPay銀行 | 同行内:55円 他行宛:160円 |
住信SBIネット銀行 | 同行内:無料 他行宛:145円 ※振込優遇プログラムにより、最安130円 |
口座維持手数料が不要
メガバンクや地方銀行などの店舗型銀行で法人口座を開設した場合も「口座開設+キャッシュカード発行」のみであれば、口座維持手数料は発生しません。しかし、そこにインターネットバンキングのサービスを付帯する場合は有料となり、月額2,000〜5,000円程度の費用が発生します。月額数千円とはいえ、長期的にみると大きな経費負担となってしまう可能性も。
しかし、ネット銀行のほとんどは、口座維持手数料がかかりません。事業が継続される限り、長期的な利用が前提となる法人口座。口座維持手数料が無料であることは大きな魅力といえますね。
24時間365日、どこにいても手続きが可能
ネット銀行なら24時間365日、どこにいても手続き可能な銀行がほとんどです。口座開設から残高照会、取引明細の確認や振込、決済などすべての手続きをインターネット上で完結できるのがネット銀行の大きな魅力といえます。
現在は、メガバンクや地方銀行をはじめとした店舗型の銀行の多くも、インターネットバンキングサービスを提供しています。
しかし、個人口座では無料で利用できるインターネットバンキングも、前章でご紹介した通り、法人口座の場合には費用が発生するケースがほとんど。そのうえ、銀行によっては利用時間が決められており、24時間いつでもアクセスできるとは限りません。
口座開設がスピーディー
スピーディーに口座開設できる点も、ネット銀行の魅力のひとつです。実店舗で口座開設の申し込みを行うと、開設まで約2週間〜1ヵ月程度の期間を要します。しかし、ネット銀行であれば最短即日~2週間程度での口座開設が可能です。そのうえ、店舗型銀行と比較すると必要書類や開設に必要な条件が少なく済むことが多いので、事前準備にも手間取りません。
【人気ネット銀行の口座開設期間】
銀行名 | 振込手数料(税込) |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 最短即日~ |
楽天銀行 | 約2週間 |
PayPay銀行 | 最短3日~ |
住信SBIネット銀行 | 最短翌営業日~ |
比較的法人口座を開設しやすい
各銀行により基準は異なりますが、法人口座は「必要書類さえそろえば開設できる」というわけではありません。近年、振り込め詐欺や特殊詐欺などの犯罪に法人口座が悪用されるケースが多発していることから、審査基準は年々厳しくなっています。口座開設の申し込みを受けると、金融機関は事業内容や取引実績などから「信用度の高い会社かどうか」厳格な審査を行うのです。
法人口座の開設は、このような厳しい審査を通過する必要があるため“法人設立後の最初の壁”とも言われています。一方ネット銀行は、必要書類や開設条件が比較的少なく、設立間もない法人であっても口座開設しやすいのが特徴。取引実績が増え、事業が安定するまでの口座として、ネット銀行を利用するのもおすすめです。
法人口座をネット銀行で開設する5つのデメリット
手軽さとスピード感が魅力のネット銀行での法人口座開設ですが、注意すべきデメリットもあります。5つのポイントから詳しく見ていきましょう。
対面サポートが受けられない
ネット銀行には実店舗が存在しないため、対面サポートが受けられません。そのため、対面での手厚いサポートを受けたいという方には不向きと言えるでしょう。また事業拡大に伴い必要となっていくであろう融資相談も行いにくい場合も。しかし、融資サービスとしてビジネスローンを展開しているネット銀行もあります。1億円程度が上限相場の銀行融資に比べるとビジネスローンの融資限度額の相場は500万円~1000万円程度と低いですが、オンラインの強みを活かしスピーディーに資金調達できる傾向にあるようです。
通帳がない
ネット銀行には通帳がなく、すべての取引はインターネット上で確認します。場所や時間を問わず取引確認が行えること、また通帳の盗難や紛失のリスクから解放されるという点はメリットともいえるでしょう。しかし、入出金明細の照会は「過去1年間の取引」に限定されるなど閲覧できる取引に期間が設けられていることもあります。閲覧期間は銀行によって異なるため、口座開設する際は、過去の取引の閲覧可能期間を確認しておくとよいでしょう。
【人気ネット銀行の入出金明細照会閲覧期限】
銀行名 | 振込手数料(税込) |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | なし |
楽天銀行 | 24ヵ月以内 |
PayPay銀行 | 5年間 |
住信SBIネット銀行 | 7年前の1月1日以降まで |
IDやパスワードの管理が必要
ネット銀行では、不正取引防止のためにログイン時や取引時用など、数種類のパスワード設定が必要になる場合があります。また、セキュリティ上の観点から、定期的な変更が必須となるほか、他人が推測できないよう複雑なパスワードを設定することが多く、管理が煩雑になることも。そのうえ、IDとパスワードを忘れてしまった場合、取引が行えなくなります。パスワードの入力ミスが重なるとアカウントが自動停止となり、復旧に時間がかかることもあるため、IDやパスワードの管理には注意が必要です。
知名度があまりない
ネット銀行は、メガバンクや地方銀行などと比較すると歴史が浅いほか、広告宣伝費をおさえているため、テレビCMや広告など目に触れる機会が少なく、知名度は高くありません。そのため、銀行としての信頼性という点においては、メガバンクや地方銀行などの店舗型には劣るという現実があります。しかしながら、「ネット銀行=信頼性に欠ける」とは言い切れません。金融庁に登録されている信用格付業者によって行われた調査などから、高い評価を得ているネット銀行もあります。信頼性を重視してネット銀行を選択したいという方は、専門機関による格付などをぜひ参考にしてくださいね。
引落口座に指定できない場合がある
ネット銀行の最も大きなデメリットと言えるのが、税金や社会保険料、国民年金保険料の口座引き落としができないことです。ネット銀行だけでは引き落としへの対応ができず、結局実店舗型の銀行とも取引が必要になってしまうケースが少なくありません。このデメリットをカバーするため、税金や国民年金保険料をインターネットバンキングでも支払える「Pay-easy(ペイジー)」を導入しているネット銀行も増えています。
そんな中、2024年4月1日よりGMOあおぞらネット銀行では各銀行に先駆け、国税や社会保険料、国民年金保険料の支払いに口座自動振替が利用できるようになりました。インターネットバンキングやペイジーを利用した支払い方法に加えて、新たな支払い手段が加わったことは、銀行口座を複数持たざるを得なかった企業にとって嬉しい変化ですね。
【人気ネット銀行の国税・社会保険料・国民年金保険対応比較表】
銀行名 | 口座自動振替 | Pay-easy |
---|---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 〇 | 〇 |
楽天銀行 | × | 〇 |
PayPay銀行 | × | 〇 |
住信SBIネット銀行 | × | 〇 |
まとめ
ペイジー対応のネット銀行も増えるなど、利用者の利便性は大きく向上しつつありネット銀行のデメリットは少なくなってきています。特に、「国税の支払いや社会保険料などを口座自動振替にしたい」「支払いをすべて1つの口座で完結したい」という方には、GMOあおぞらネット銀行がおすすめです。
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