返戻率の引き下げが続く学資保険。もはや入る意味は薄いのか?

ソニー生命は、学資保険の返戻率を2020年1月の新規契約から引き下げました。他社より比較的高い返戻率を維持していましたが、ついに下げざるを得ない状況になったようです。

ソニー生命、学資保険の返戻率下げ 1月の新規契約から

《一部抜粋》ソニー生命保険は2020年1月から学資保険の返戻率を引き下げる。契約者が30歳男性で受取総額が200万円、子供が10歳までに保険料を払い込む代表的な契約の場合、返戻率は現在の107.2%から105.5%に下がる。学資保険の料率改定は17年11月以来約2年ぶり。

当サイトには読者の方々からさまざまな質問が届くのですが、なかでも多めなのが教育資金についてです。そこで今回は、学資保険の返戻率は下がり気味だけど、それでも教育資金の準備に有用なのか?を考えます。

なお、保険ソクラテス内には、より突っ込んだ学資保険の記事がいくつもありますので、よろしければぜひご覧ください。

学資保険の教科書

学資保険を利用して得しそうなこと

貯蓄が苦手な人でも継続がしやすい

「毎月のコツコツ貯金は苦手だけど、学資保険なら続けられる」という方はたくさんいます。考えられる理由は主に2つで、1つは、学資保険という商品名の力。「我が子のための貯金」という名目なので、親としての受け止め方が重く、簡単に止めるわけにはいかないのです。

もう1つは、解約ペナルティの力。学資保険は、途中で解約すると払い込んだ保険料の7割程度しか戻ってこないため、ほとんどのケースで損をしてしまいます。つまり、よくも悪くも「止めたくても止めにくい状況」にいるというわけです。

貯蓄の基本は「先取りで切り離すこと」ですから、それを保険という形で自動化できるのはメリットだと言えるでしょう。

貯蓄できる額が前もってわかる安心感

学資保険のほとんどは円建ての利率固定です。払い込んだ保険料の総額が将来いくらプラスになって戻ってくるのか、契約時に知ることができる安心感があります。満期学資金が200万円だとすれば、保険会社が倒産でもしないかぎり、200万円は必ず受け取れるのです。

これは、増えるにしろ減るにしろ、将来の積立額を予測できない投資信託などとは大きな違いでしょう。心理的負担が少なく、教育資金について必要以上に怯える時間が減ります。

生命保険料控除で税金が安くなる

学資保険の保険料は「一般生命保険料控除」に入るため、他の生命保険(死亡保険や収入保障保険など)に年間8万円以上の保険料を払っていなければ、「枠」が使えることになります。

控除額は最高で4万円。詳細は割愛しますが、所得が331万円の人が4万円の控除で327万円になった場合、税金は5,500円安くなる計算です。

単体で見るとわずかな金額ながら、子供が0歳から15歳になるまで4万円の控除を受ければ、トータルで8万2,500円の節税になります。

親の死亡保障が付いている

保険ならではの強みが、学資保険に付いている「保険料払込免除特約」です。払込期間中に親(契約者)が亡くなったり、高度障害状態になった場合、保険料の払込は免除され、それでいて学資金は予定どおり受け取ることができます。

親が亡くなって最も必要になるのは「すぐ手に入る現金」ですが、それは生命保険でカバーするとして、高校入学時や大学入学時のタイミングにも学資金が受け取れるのは心強いものです。

なお、保険料払込免除特約を外すと返戻率が上がりますが、学資保険の強みが薄まるので、付けたままにしておくことをおすすめします。

学資保険を利用すると不安になりそうなこと

お得感が少ない返戻率

マイナス金利政策の影響で、学資保険の返戻率は昔ほどのものではなくなりました。110%以上も珍しくなかったソニー生命ですら、冒頭でふれたとおりの元気のなさです。

お得感は少ないのに、払込期間が終わるまで解約しにくい(=お金の流動性が低い)のは、やはり不安材料です。

解約すると元本割れする

メリットとデメリットは表裏一体なところがあります。学資保険には、貯蓄が苦手な人でも続けられる「強制貯蓄効果」がありますが、なんらかの事情で家計が逼迫した場合、解約せざるを得ません。解約すると、前述のとおり払い込んだ保険料の一部しか戻ってこず、元本割れになります。

保険ですから仕方のない部分はあるとはいえ、学資保険は家計の急変には対応しにくい商品と言えます。

インフレリスクに対応できない

学資保険のメリットに「貯蓄額がわかっているから安心」と述べましたが、将来の物価上昇率を考えると、そこまで安心できるものではありません。子供が18歳のときに100万円受け取れる契約だとしても、その100万円は現在の100万円より価値が下がっているかもしれないのです。

文部科学省が発表している過去30年の教育費の推移(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/__icsFiles/afieldfile/2017/12/26/1399613_03.pdf)を見ても、これから右肩上がりで増えていく可能性は十分にあります。長い年月をかけて積立するのですから、インフレリスクを抜きにして考えることはキケンです。

結論

以上から、学資保険があると心理的負担は減るし、強制貯蓄効果もあるが、現状はさほど増えず、インフレリスクにも対応できず、途中で止めると元本割れしてしまう。ただし、保護者の万が一に機能する、保険ならではの特徴がある、とまとめることができます。

最後の点は唯一無二の強みですから、学資保険を「備えの一つ」として持っておくのは十分に有用でしょう。大切なのは、それはそれとして、これからは物価の上昇に強い変動資産も組み合わせることです。元本を目減りさせないことを第一に、投資信託なども視野に入れた、市場の変化に強い貯蓄体制をめざしましょう。

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