CO・OP共済に続いて全労済も! 高血圧症でも一般の商品に加入申込できます

CO・OP共済の次は全労済と、最近、「高血圧症でも一定の範囲なら一般の商品を利用できる」ことを前面に打ち出す共済が続いています。高血圧症の人は保険や共済への入り方を再考すべきかもしれません。高血圧症だからと諦めていた人も、保障見直しなどもチャレンジできます。

目次

高血圧症ってどんなもの?

血圧が高い状態を「高血圧」といい、常に高い状態が維持される疾患を「高血圧症」といいます。日本での高血圧の基準は、収縮期(最高)血圧と拡張期(最低)血圧がそれぞれ140mmHg、90mmHg以上と定められています。

高血圧は高い圧力が血管内壁にかかり続けることでもあるため、動脈硬化が進む原因になり、脳卒中や心臓疾患など生命に関わる病気にもつながりかねません。年齢とともに血圧は上がる傾向があります。

厚生労働省「平成26年患者調査の概況」によると、高血圧性疾患で継続的な治療を受けていると推測される患者数は1010.8万人です。ただし、この数字はあくまでも治療を受けている人の数で、高血圧であることに気づいていない、または治療していない「隠れ高血圧症」の人を含めると、実際には3000万人はいるのではないかとの推計もあります。

実は私も、40代後半に偏頭痛で検査を受けたのを機に、高血圧症と診断されました。それまでは低血圧だと信じていたうえ、血圧を測る機会もない日々を過ごしていました。しばらく偏頭痛や肩こりに悩まされ、何度か病院で頭痛薬をもらったこともありましたが、まさか高血圧症の症状とは思ってもいませんでした。体重も今より10kg以上痩せていた頃でしたし。

降圧剤を飲むことには抵抗がありましたが、医師から、血圧が高いまま放置している方がリスクが高い状態だ、と説明を受けました。しぶしぶ降圧剤を飲み始めたら、頭痛も肩こりもなくなりラクになりました。

かつての私のように、全く自覚のない高血圧症の人もまだまだいるのではないかと思います。今は特定健診などもあるので、見つけやすいかもしれませんが、受診していない人や、自覚はあっても降圧剤を飲みたくないという人もいるかもしれません。

ちなみに、厚生労働省「人口動態統計の概況(平成27年)」によると、高血圧性疾患による年間死亡者数は6,726人。決して多くはないですが、むしろ脳出血などから要介護状態になったりする方が怖いのかもしれません。

CO・OP共済と全労済が明示を始めたワケ

この高血圧に関して、「治療中でも加入しやすくなりました」と前面に打ち出してきた共済があります。

2015年9月から変更されたのがCO・OP共済、2016年10月から変更されたのが全労済です。それぞれの概要を見ておきましょう。

<CO・OP共済>

  • 高血圧、脂肪肝の方も一定の条件を満たせば加入できるようになった(特定病気加入制度)。
  • 対象商品:「CO・OP共済 たすけあい」「CO・OP共済 あいぷらす」「CO・OP共済 ずっとあい《終身生命・終身医療》」
  • 条件:加入者が満30歳以上であること、過去5年以内に高血圧・脂肪肝で入院したことがないこと、等
  • 内容によっては加入できないこともある。

<全労済>

  • これまで「高血圧」で治療中の場合に加入できなかった医療と生命の保障について、一定条件を満たす場合に加入できるよう取扱いが見直された。
  • 対象商品:「こくみん共済」「総合医療共済」「せいめい共済」(一部のタイプ・プランを除く)
  • 条件:申込日(告知日)において満30歳以上の方。ほかにも、加入には一定の条件がある。
  • 内容によっては加入できない場合もある。

それぞれの広報部に話を伺いましたが、「高血圧症で通院している」「降圧剤を飲んでいる」というだけで初めから申し込みを断念せざるを得なかった組合員からの要望に応えたものでもあるようです。

加入できるかどうかは審査ののちに決まりますが、降圧剤を飲んでいても、所定の血圧の範囲で、合併症などがなければ、おおむね加入できるようです。ただし、血圧の水準など引受基準の詳細は公開されていません。

高血圧症の人も一般の保険から検討を

保険に入る際や見直しの際に、高血圧症の人が最初に考えがちなのは「引受基準緩和型」の医療保険ではないでしょうか。3~4つの告知項目をクリアできれば申し込める医療保険で、オリックス生命「新・キュア・サポート」やメットライフ生命「フレキシィゴールド」など多くの商品があります。一般の医療保険に比べ保険料が高めです。

しかし、高血圧症の人は、まずは一般の医療保険や、高血圧でも申し込めると宣言している共済に申し込んでみるべきです。症状によっては、問題なく入れる場合があります。しかも、引受基準は保険会社や共済で異なることから、複数の保険会社や共済に申込むのも意味があります。私も昨年、自分の医療保障の見直しを行いましたが、条件もつくことなく一般の医療保険に加入できました。

実際には、血圧の数値や治療内容、合併症の有無などによって、保険会社の対応は次の4つに分けられます。

<高血圧の人が一般の医療保険を申込んだとき>

  • 普通に加入できる
  • 割増保険料がかかる
  • 保険料は変わらないものの、高血圧に起因する心臓や脳の疾患は保障しない「部位不担保」や「疾病不担保」が付く
  • 保険会社から加入を断られる(謝絶)

繰り返しますが、高血圧症であっても、まずは一般の保険・共済に申込み(複数社)、加入できなかったりできても条件が悪かった場合に、「引受基準緩和型」に申し込むという順番で検討するといいでしょう。

個人的な推測ですが、2共済が始めた「高血圧でも(一般の商品に)申し込めます」という宣言、今後はネット生保などでも広がるのではないかと思います。高血圧症で治療中でも一般の保険に入れる可能性があることは、代理店チャネルであれば生活者の耳に入ることはあるものの、ネットチャネルはそもそも対象にしてなかったか、対象にしていても情報が届きにくく、アピールしないと伝わらないと考えられるためです。

高血圧症の人にとって選択肢が広がるのはよいことでもあります。「高血圧だから」「降圧剤を飲んでいるから」と諦めていた人も、保険の見直しも可能な場合もあるのです。ぜひチャレンジしてみてください。

参考

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この記事を書いた人

経済誌・経営誌などのライターを経て、1994年より独立系ファイナンシャル・プランナー。FPラウンジ 代表。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の記事や記事監修などを行っている。95年、保険商品の全社比較を企画・実行して話題に。「保険と人生のほどよい距離感」をモットーに保険相談に臨んでいる。ライフワークとして大人や子どもの金銭教育にも携わっている。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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