このたび、新築の分譲マンションを購入します。
火災保険の加入は決定していますが、地震保険には加入するかどうか迷っています。
迷っている理由としては、木造の一戸建などに比べれば被害はさほど大きくないだろうと思っている事。マンションは共有部分が多いので、持ち家ほど負担も大きくないと考えているからです。
地震保険は必要でしょうか?また、もし地震保険に加入する場合、注意点はおすすめの選び方などありますでしょうか?
(28歳 女性)
ファイナンシャルプランナー(AFP)、損害保険(募集人・火災・傷害・自動車・税務)、証券外務員2種(有資格者) K&Bプランニング 小澤 美奈子
地震保険と言えば、「高い」「あまり保険金が出ない」、さらに「最近のマンションは壊れるなんてまずありえないから必要ない」などと、入りたがらない方が多いは事実ですが、私自身は加入をお勧めしたいと思います。
なぜならば、地震保険は地震による建物や家財の直接的な損害以外に、重要な補償を備えているからです。
マンションは共用部分と専有部分に分かれていて、地震保険を付ける場合、共用部分はマンション管理組合で、専有部分は各戸で加入することになります。
ご相談者のようにもし迷っていらっしゃるようでしたら、マンションならではの二次的被害等を是非知っていただきたいと思います。
万が一地震で火災が発生した場合は火災保険で補償されず、地震保険に加入している必要があります。
マンションでは集合住宅特有の隣家や階下からの「もらい火」の危険性がある上に、地震時はまず即座に消防車が来るということは考えられませんので、建物と家財両方に加入することをお勧めしたいと思います。
マンションを購入している方の多くは、同時に住宅ローンを抱えています。
地震災害による経済的負担にプラスして、ローンの支払いも続くという二重の負担を考えると、地震保険の保険金が助けになるはずです。
現在適用されている建築基準法の耐震基準は昭和56年6月に制定されたため、それより前に建設されたマンションは建物被害を受ける可能性があります。
そもそも耐震改修工事を行っているマンションを選ぶことが大切ですが、もしものために建物と家財ともに加入をすることをお勧めします。
他にも、政府機関※の調査によると、南海トラフ地震発生の危険性は、向こう30年間で70%と高い確率が算出されています。この数字から見ても地震災害への備えは大いにすべきという認識が持てます。
※地震調査研究推進本部調査の「将来の地震発生の可能性」より
地震保険はそもそも「地震災害による被災者の生活の安定に寄与することが目的」という意味を持っており、そこが火災保険とは異なります。
要するに「地震が起きた後の私たちの生活を手助けする保険」と考えていただきたいと思います。
地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、保険金額は火災保険で加入している30~50%の範囲で設定します。
加入率は年々増加傾向にあり、損害保険料率算出機構によると2013年は火災保険加入者の58.1%(前年より1.6ポイント増)が地震保険にも加入しており、地震への備えの関心の高さがうかがえます。
また地震保険は「保険金の支払いが早い」という特徴があります。
火災保険のように実際の修理費を補償するわけではなく、全体の損害の程度を「全損、半損、一部損」に判別し、それに応じて契約金額の一定割合「100%、50%、5%」を支払うという保険です。
この査定方法は保険金の支払いを迅速に行い、被災者のいち早い生活再建を手助けするためであります。
実際、被害状況の判定では航空写真を用いて行うこともあり、かなり大まかな評価によって査定が行われています。
決して安いとは言えない地震保険を、少しでも安く入るための方法をご紹介します。
「免震建築物割引」「耐震等級割引」「耐震診断割引」「建築年割引」があり、基準を満たすことで50~10%の割引を受けることが出来ます。
ただし重複適用が出来ない、確認資料の提出が必要などの注意がありますので、加入の際には必ず確認が必要です。
地震保険は長期で加入すると、割引を受けることが出来ます。
例えば1年契約の保険料を1,000円とした場合、2年契約では1,900円、5年契約では4,450円というように、割り引かれていきます。
ただし主契約である火災保険の保険期間に準じるため、地震保険のみ長く契約するということは出来ません。
地震保険の払い込み保険料に応じて、税金の負担が軽減される制度で、課税所得から所得税が最高5万円、住民税は最高2万5千円が控除されます。
会社員であれば年末調整時に申告が出来ます。
東日本大震災で見られたように、ライフラインの遮断、仮住まいを余儀なくされるなど、ひとたび地震が起こると多くの経済的な困難が想定され、通常の生活へ戻すためには様々な出費が必要となります。
最新の耐震基準を備えているオール電化住宅などは「建物」の加入について一考の余地があるかもしれませんが、基本的に建物・家財ともにご加入することをお勧めします。
ただ、最終的にはそのご家庭の経済状況によって必要かどうかは異なるため、家計の見直し行いながら、ご自身にとって何が必要か、何が大切なのか今一度考えてみてはいかがでしょうか。
約15年以上に渡り損害保険会社に勤務。その大半で火災保険・地震保険を担当し、事務・社員教育・営業等を経験する。現在はファイナンシャルプランナーとして、執筆・講座・相談業務の他、健康・美容ライターとしても活動中。趣味はバレエ、料理、写真。
■所属団体
・日本FP協会
・神奈川県ファイナンシャルプランナーズ協同組合等
私のお勧めは、家財までしっかり地震保険に加入しておくこと。
各世帯で加入を判断できる火災保険は加入しておいたほうがよい。
地震保険だけで安心とはいえないが、加入しているとしていないとでは大違い。
立地条件のリスクが高いと思えば、保険の加入を検討しましょう。
地震の起こる確率は、火災の起こる確率よりずっと高いことを認識して下さい。
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