趣味で、スポーツサイクルと通勤に自転車を使っています。
自転車保険加入の必要性を感じているのですが、自動車保険の特約で付帯していれば大丈夫という意見もあります(自動車保険には加入しています)
自転車保険単独での加入は必要でしょうか?また加入する場合、どういった内容の商品がいいのでしょうか。
(30代 男性)
ファイナンシャルプランナーAFPR、2級FP技能士、証券外務員I種 FPオフィスMie代表 伊藤 美恵
今回の質問に対してのお答えですが、質問者様が一般の生命保険にも加入されていらっしゃることを前提にお話しますが、自動車保険に加入されていらっしゃるとのことでしたので、まずは自動車保険に自転車保険や個人障害賠償保険を付帯することをご検討されることをお勧めします。
私自身は自転車には乗りませんが、私の息子は自転車に乗っています。息子も最初は自宅前の公園の中でのみ、自転車遊びをしておりましたが、どんどん自転車の運転が上手になり、昨年、色々な所に自転車に乗って出掛けたいと主張してきましたので、保険に加入することを決めました。加入手続き後、契約開始まで約3週間ありましたが、早く乗りたいと訴えてきた息子を我慢させました。その理由は、自転車事故の賠償金額が高いことでした。この賠償責任は、未成年といえども責任を免れることはできないのです。そして、特に最近は自転車事故の賠償金額が上がってきています。
例えば自動車を購入した際に、自動車保険に加入し対人に無制限などにされていらっしゃる方が殆どではないでしょうか?それは、自動車を保有する殆どの方が、人の命の重みを知っているからだと思います。実は、自転車の事故でも裁判所から一億円に近い賠償金支払判決が過去にも出ております。下記の自転車での加害事故例をご覧ください。被害者の相手の為にも、もちろんですが、自分のこれからの未来の為にも、万が一に備えて自動車同様に自転車にも保険が必要だとお分かりになることでしょう。
賠償額 | 事故の概要 |
---|---|
9,521万円 | 男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。 (神戸地方裁判所、平成25(2013)年7月4日判決) |
6,779万円 | 男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。 (東京地方裁判所、平成15(2003)年9月30日判決) |
※(出典)日本損害保険協会
昨年2014年10月20日に兵庫県 井戸敏三県知事による知事定例会見にて、兵庫県では自転車保険加入を義務化する条例案を今年2015年の2月にも議会に提出したい考えと述べました(※)。井戸県知事によると、自転車保険加入の義務付けについての罰則はなく運用上は強制ができないが、罰則がなくても加入義務があることは間違いないないこと、また、1,500円から2,000円くらいの低廉な保険料で加入できるような保険を県がつくれないかという方向性で検討に入っていることも会見で述べました。この兵庫県の条例案が可決されたとしたら、今後、日本全体で自転車の考え方に対する意識が変わるかもしれません。
※兵庫県HP「知事定例記者会見内容(2014年10月20日 後半にて自転車保険義務化について会見)」
http://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/g_kaiken20141020.html
万が一の自転車事故には、自転車保険や個人保証賠償責任保険などで備えましょう。実は言うと、単体の自転車保険には、ケガをさせた相手への保障以外にも、自分がケガした場合の入院保険や手術手当金、死亡保険など様々なものが付加されています。しかし、生命保険等で入院保険や手術手当金、死亡保険金などに加入されている場合は、保障が重複してしまう上に、その分の保険料で高くなりますので、その場合は単体の自転車保険ではなく、自動車保険などに付帯しての加入で検討することをお勧めしています。
まずは、ご自身が加入されている自動車保険や火災保険、そして傷害保険に、個人賠償責任保険を付帯することが出来ないかを確認してみてください。数百円から数千円で付帯できる(※)所が殆どのようです。その他に、お持ちのクレジットカードや契約携帯電話会社などが個人賠償責任保険を付帯できるサービスを提供している所もあります。
実は言うと、我が家も個人賠償責任保険を付帯という形で利用しています。その理由の1つは、もちろん、安かったこと。我が家は生命保険にも加入しているので、入院保険などが要らなかったことが挙げられます。次に自転車保険の被保険者、つまり保険適用の対象者のことですが、殆どの自転車保険が被保険者のみ対象だったことです。しかし、個人賠償責任保険は、殆どの所が家族全員の賠償責任の対象者だったことです。
息子が万が一、ケンカなどで相手をケガさせてしまった場合などを考えて、加入しようと検討していた為、我が家では、ついつい先伸ばしにしていた個人賠償責任保険を加入するキッカケとなりました。お子さんや犬などのペットがいる場合は、もし自動車保険などに個人賠償責任保険が格安で付けられるなら、万が一の為に掛けておいてもよろしいかと思います。
色々な会社が個人賠償責任保険や自転車保険を販売しておりますが、ひとつ気にして欲しいことがあります。その保険に示談交渉サービスが付帯されているかどうかです。自動車での事故の場合、保険会社が示談交渉をしてくれるので、自転車保険さえ入っていれば示談交渉してくれると思っていたのに、実際は示談交渉サービスが付帯されていなくて、示談交渉を自分でやらなければならなく、相手から責められるし大変に苦労するらしいので、示談交渉サービスが付帯したものを選ぶことをお勧めします。
宮城県仙台市在住。1974年生まれ。
元証券会社窓口、生命保険会社、企業の経理担当等を経て、独立開業。現在は、相談業務を中心に、セミナー講師、執筆、企業の福利厚生員、地元ラジオ放送局「エフエムたいはく」のパーソナリティーとして活動中。
専門分野は、生命保険・教育資金・住宅ローン・資産運用等、トータル的に家計の見直しをし、老後を視野に入れたプランニング。FPとしてのモットーは、幸せの追求。幸せの追求には、トータルバランスがとても重要。家族みんながニッコリ幸せに過ごせるようなライフプランのお手伝いをしています。
自転車保険に加入するかどうかは、自転車を利用する度合いによる。
何より安全運転を心がけ事故を起こさないことが第一。
自動車保険や傷害保険など、既存の保険に特約をつければよい。
自動車保険に保険証券で個人賠償責任保険が付帯されているかどうか確認しましょう。
自動車保険の補償内容が十分なものであれば別途自転車保険に加入する必要はない。
加入している保険に特約を付けることで万が一自転車事故の加害者になってしまった場合の補償をしっかりカバー。
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