趣味で、スポーツサイクルと通勤に自転車を使っています。
自転車保険加入の必要性を感じているのですが、自動車保険の特約で付帯していれば大丈夫という意見もあります(自動車保険には加入しています)
自転車保険単独での加入は必要でしょうか?また加入する場合、どういった内容の商品がいいのでしょうか。
(30代 男性)
ファイナンシャル・プランナー、住宅ローンアドバイザー 株式会社アプローズ 白子 里美
子どもから大人まで誰でも乗れる気軽さ、また最近のエコや健康志向の高まりで大変人気の自転車ですが、その一方で、平成25年の自転車乗用中の交通事故件数は12万件を超え、交通事故全体の約20%を占めています。自転車事故の中で、対自動車、対二輪車、自転車単独、自転車同士の事故は、10年前と比較すると約3分の2に減ってきてはいるものの、自転車対歩行者事故に限っては増加しています。
最近は自転車で歩行者を死亡させたり、重い障害が残るケガを負わせたりしてしまった場合の損害賠償額が数千万円などと大変高額になっているため、自転車事故への備えが必要と考える人も増えてきました。
自転車の事故の補償については、以下の2つを考える必要があります。
自動車保険に加入している人なら、特約を付加することで自転車事故に備えることができます。
自分がケガをしてしまった場合には、自動車保険の「人身傷害補償保険(または特約)」が使える可能性があります。ただし、補償の範囲は契約内容が「契約車に搭乗中の事故のみ補償」か「契約車両以外の他の車両、歩行中も補償」かによって変わってきますので、ご自身の自動車保険でどこまで補償されるのかをしっかり確認しておきましょう。
他人にケガを負わせてしまった場合、自動車保険に「個人賠償責任補償特約」を付けておけば、自転車の事故はもちろん、日本国内において日常生活の中で他人にケガを負わせたり、他人のものを壊してしまって賠償責任を負った時に保険金が支払われます。
個人賠償責任補償特約は基本的には家族全員が使えるため、たとえば一家のお父さんが加入していれば個別に加入する必要はありません。小さい子どもでも自転車事故などの加害者になることがあるため、本人だけでなく家族の分も補償してもらえるのは安心です。特約保険料や保険金額については加入している自動車保険によって変わってきますが、年間2~3千円で、補償額も「1億円」「無制限」となっているものも多くあります。示談サービスが付いて、万が一の時にも心強いでしょう。
個人賠償責任補償は、自動車保険だけでなく火災保険や傷害保険などに特約で付けることができます。火災保険に付ける場合は、保険金額1億円で特約保険料は月100円程度です。
このように、まずは自分が加入している保険に特約を付けることで、万が一自転車事故の加害者になってしまった場合の補償をしっかりカバーすることがおすすめです。
保険には全く加入していないけれども自転車事故に備えたいという場合には、自転車保険を検討してみましょう。
自転車保険は、傷害保険と個人賠償責任保険の二つの役割を持った商品です。自転車事故でケガをしてしまった時には、死亡・後遺障害保険金、入院保険金、通院保険金などが支払われ、他人にケガを負わせたり、他人やお店のものを壊してしまった場合には損害賠償金が支払われます。補償は充実していますが、保険料は個人型で年額6,000円程度、家族型は1万3,000円程度と高めになっています。
もう少しお手軽な保険料で加入したい場合は、カードに毎月数百円で特約が付けられたり、携帯電話の加入者限定の保険などもあります。
自転車事故の加害者になってしまった場合、賠償金額が数千万円と高額になることもあるため、自転車保険に加入する際は、できれば個人賠償責任補償は「1億円」、家族がいる場合は「家族型」で、示談サービスが付いているものを選ぶのがいいでしょう。
「自転車なのにわざわざ保険に入る必要があるの?」「ケガをしても医療保険が使えるし、何とかなるのでは」と考える人も多いかもしれません。ただ、加害者になってしまった場合のことを考えると、何らかの備えが必要です。
自動車の場合は強制保険である自賠責保険で自動車事故の被害者が救済されますが、自転車にはこうした制度がありません。自転車と歩行者の事故が増えているとして、自転車保険の加入を義務付ける条例案を提出した自治体のニュースが最近話題になりました。
保険に入るのはためらわれるという人でも、自転車の点検整備を受けてTSマークを貼ってもらえば、TSマーク付帯保険が付いてきます。TSマークは自転車に付帯する保険のため搭乗者は問われず、掛け金は点検整備代によりますが、1,500円から2,000円程度となっています(有効期間は1年間)。平成26年10月1日より赤色TSマーク付帯保険の賠償責任補償額が2,000万円から5,000万円に引き上げられました。
どのような形であれ、自転車に乗るなら、事故に対しての危機意識を持ち、万が一の場合に備えておきたいですね。
大学卒業後、大手総合商社に勤務。退職後、FP資格を取得。現在は自身の経験をもとに、個人相談のほか、生命保険や子どもの教育費、老後資金などに関するコラム執筆やセミナー、などを行っている。
<コラム執筆>マイナビ「家計相談」、価格.com他
自転車保険に加入するかどうかは、自転車を利用する度合いによる。
何より安全運転を心がけ事故を起こさないことが第一。
自動車保険や傷害保険など、既存の保険に特約をつければよい。
自動車保険に自転車保険や個人障害賠償保険を付帯することを検討してみては。
自動車保険に保険証券で個人賠償責任保険が付帯されているかどうか確認しましょう。
自動車保険の補償内容が十分なものであれば別途自転車保険に加入する必要はない。
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