趣味で、スポーツサイクルと通勤に自転車を使っています。
自転車保険加入の必要性を感じているのですが、自動車保険の特約で付帯していれば大丈夫という意見もあります(自動車保険には加入しています)
自転車保険単独での加入は必要でしょうか?また加入する場合、どういった内容の商品がいいのでしょうか。
(30代 男性)
日本FP協会東京支部幹事、WAFP関東会員、NPO法人エイプロシス証券カウンセラー FP office ITO 代表 伊藤 魅和
小学生の男の子が自転車で女性にけがをさせてしまい、9,500万円余りの損害賠償を請求されたというニュースは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。
誰でもこんな大金を払えないと思うでしょう。まずは事故を起こさないというのが大前提になりますが、万が一に備えておくのが保険です。
最近は自転車保険の広告等をよく見かけますが、わざわざ単独で加入する必要はありません。自動車保険や傷害保険など、既存の保険に特約をつければいいからです。
自動車保険、火災保険など、まずは自分が加入している保険を見直してみましょう。自分が意識せずに、すでに加入しているかもしれません。月々にすれば少額でも、二重に支払うのはもったいない話です。
自動車保険に個人賠償責任保険は付いていませんか。付いている可能性のある保険は、自動車保険・火災保険・傷害保険(交通傷害保険)等です。クレジットカードに付いているケースもありますが、補償が少額の場合があり、それだけでは不足する可能性があります。いずれにしても確認をすることが大切です。
自転車事故で必要となる補償は、(1)相手に対する補償(2)自分に対する補償、(3)モノに対する補償の三点です。相手をけがさせた時、自分がけがをした時、モノを壊した時の対人と対物の補償が必要になります。下記の表のとおり、相手に対する保険が個人賠償責任保険、自分に対する保険が傷害保険です。
保険の種類\対象 | 事故の相手 | 自分 | |
---|---|---|---|
生命・からだ | 財産(モノ) | 生命・からだ | |
個人賠償責任保険 | ○ | ○ | × |
傷害保険 | × | × | ○ |
※ 日本損害保険協会ホームページより
個人賠償責任保険とは、個人が他人を死傷・他人のモノに損害を与えた時に、損害賠償責任を負ったことにより支払われる保険で、業務上や自動車事故などの損害賠償には支払われません。
保険の対象になる人(被保険者)は、本人・配偶者・生計を一にする同居の親族・別居の未婚の子です。傷害保険とは、急激かつ偶然に外来の事故により傷害を負った時に支払われる保険です。しかし、無免許運転での事故やけんかによるけがなどは、偶然であっても支払われません。
傷害保険の中に普通傷害保険・家族傷害保険・交通事故傷害保険など様々な種類があり、契約により本人や夫婦、家族が被保険者となります。
個人賠償責任保険と傷害保険の両方に入らないといけないのかと思われた方もいるでしょう。しかし、一番考えなくてはならないのは事故の相手やモノに対する補償です。損害賠償金が発生するのは、相手があってのことです。高額ではなくとも修理費用を請求される場合があります。
例えば、自分の自転車と相手の自動車が接触して過失割合が50%対50%だと仮定します。自転車の修理費用が1万円、自動車の修理費用が30万円かかった場合、それぞれ50%ずつ支払わなくてはなりませんから、相手は5,000円、自分は15万円支払うことになります。
自分のけがや入院についても心配ですが、自分が入院をした時には、生命保険に加入をしていれば、入院給付を受けられる可能性があります。保険とは、万が一のためのお守りです。何に重点を置くのかをよく考えましょう。
わざわざ個人賠償責任保険や傷害保険に加入しなくても、自転車を購入するだけでついてくる保険があります。それがTSマーク付帯保険です。自転車安全整備店で購入または点検整備を行い、基準に合格した自転車につけられる保険になります。
自転車に付帯する保険ですから、本人以外の家族や友人でも乗車した人が事故にあった時に支払われます。この保険は、個人賠償責任険と傷害保険をあわせた商品になっています。ただし、有効期間が1年間なので、定期点検(有料)を忘れずに行う必要があります。
一般的に自転車保険に単独で加入するより、自動車保険や火災保険に特約を付けた方が割安で手続きが簡単です。ほとんどの方が、すでに自動車保険や火災保険に加入していると思います。しかし、自動車を保有していない方もいらっしゃいますので、他の保険に加入していない場合は、自転車保険の加入を考えましょう。
特約を付けたり自転車保険に加入するときは、傷害補償、賠償責任補償の金額も重要ですが、示談交渉サービスが付いている保険を選びましょう。示談交渉を自分で行うのは心身ともにつらいものです。いずれにしても、まずは事故を起こさないように安全運転を心がけることが大切です。
東京都文京区生まれ 東京都東久留米市在住 。大学卒業後、金融機関に勤務。その後、証券会社、独立FP会社を経て2014年より独立。 現在は、執筆・講師を中心に活動中。
「TEPORE」“悠遊マネー”の Webライティング
スッキリおぼえるFP技能士2級・AFP/TAC出版 編集協力
よい保険悪い保険2014年版/宝島社 取材協力
これ1冊 証券外務員二種合格テキスト/同友館 編集協力
これ1冊 証券外務員一種合格テキスト/同友館 編集協力
UKARU まだ間に合う!2級FP技能士アプリ 編集協力
これでバッチリ!! 保険早わかり/GAKKENN MOOK 取材協力
自転車保険に加入するかどうかは、自転車を利用する度合いによる。
何より安全運転を心がけ事故を起こさないことが第一。
自動車保険に自転車保険や個人障害賠償保険を付帯することを検討してみては。
自動車保険に保険証券で個人賠償責任保険が付帯されているかどうか確認しましょう。
自動車保険の補償内容が十分なものであれば別途自転車保険に加入する必要はない。
加入している保険に特約を付けることで万が一自転車事故の加害者になってしまった場合の補償をしっかりカバー。
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