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がん保険に加入するなら終身型にするべき?

がん保険への加入を検討しています。保険の無料相談にいったところ、定期型のがん保険だと、年をとった時の更新で保険料がかなり上がる可能性があるので終身型の方が良いと薦められました。

ただ、私としては、将来の公的な医療保険制度やがん治療の状況もわからないため、終身がん保険に加入しても良いのだろうかという漠然とした不安があります。

がん保険は、終身型の方が良いのでしょうか?
選ぶポイントなどありましたら教えてください。

(28歳 男性)

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保険料の変わらない終身型がおすすめ。付帯サービスも参考に選んで

CFP ひまわりFPオフィス代表 矢澤 理惠

がん保険を選ぶなら終身型が良いと思います。
いつ、自分に最後が訪れるのか誰もわかりません。
不摂生してきたから若くして死ぬよ、なんて思っていたら90歳過ぎてもピンピンしていたり。
長生きした場合いくつになっても、支払う保険料が金額が変わらない(高くならない)保障があることで安心を得ることができるからです。

がんの告知から考えること

みなさんの中にがんの告知を受けたことがある方はいらっしゃるでしょうか?
私が30代の頃、医師の告知を受けた直後の母からの電話で、母の乳がんを知りました。
その瞬間、頭が真っ白になったことを鮮明に覚えています。
そんな状態の時に、まず何を考えると思いますか?
「どのくらい、生きていられるのだろう・・・」
この事でした。

とにかく少しでも長く生きていてほしい!
親のことでもそう思うのですから、自分の事だったら余計「生きていたい!」と思うのではないかと思います。
告知を受けたとき、母は64歳で特にがん保険などには入っていませんでした。
がん保険は普通の医療保険と違い、加入後90日間の待機期間があるので何の予兆もないときに前もって加入しておくことが必要です。
よほど病院嫌いでない限り、体の不調や痛みを感じたら病院に行きますよね。
つまり、何かおかしいな?と感じた時ではすでにがん保険は加入できないことになります。

がんとわかると、まず治療方針を担当医と決めます。
調べた結果、どのような対処療法が1番有効かを模索していくのです。
個人個人の体質などにより効く薬もあればそうではないものもあり、効く薬の中でも体に与える負担が大きいものもあります。

母の時も、まだ承認前の薬が効きそうとのことで「治験薬」を使うという方法で新しい薬を試していました。
この薬を点滴の形で体内に入れるのですが終わったあとは歩くのもやっとなほどフラフラになり、帰ってからも数日はだるくて起き上がるのが辛かったようです。
私が送り迎えしてあげられる時はまだいいのですが、1時間以上自分でバスを乗り継いで病院へ行った時の帰り道はどんなに辛かったかと思います。
去年、私も大腸の病気で約半年間入退院を3回繰り返しましたが、その時同じ病室にがんの治療薬投与のために2?3日間入院していく方がいました。
母もそんな措置をしてもらえたらもう少し楽だったかもしれない・・・
そんなことを考えたりしました。

がん保険の選択方法

がん保険はそれぞれ少しずつ内容が違います。
保険金が払われる要件や給付される金額、中には入院よりも通院に重点を置いたりしたものもあり、各社さまざまです。
その中で何が必要かを選ぶのはみなさんご自身です。
もし、身内やお近くの方でがんの方がいらっしゃったら、その時のことを参考にがん保険を選ばれるのも良いと思います。

私の場合、母の時のことを考えながら選びました。すでに一般の医療保障には加入しているのでその上乗せの位置付けでの選択です。
母の最初の入院は1ヶ月弱でしたが、乳がんだったので乳房切除の手術をしました。
その後は月に1回、抗がん剤の投与で通院しました。
がん保険は多くの商品に、がんと診断された時のがん診断給付金があります。
これである程度まとまったお金が入るので、お仕事をされている方でも少しホッとすると思います。お仕事を休まなくてはいけない方はもちろん、おうちで家事を担当されている方も、抗がん剤投与後などはしばらく家事や育児ができなくなるかもしれません。
そんな時にまとまった保険金が入ってくれば、ベビーシッターや家事代行を依頼することが出来ます。中には1回だけの給付に限る会社もありますが、多くはその間が2年空けば複数回支払われます。

がん手術金、これは会社によって金額が一律のところと、数種類に分けられているものがあります。痛い思いをして手術するのですし、手術の支度にもそれなりにお金がかかるので付けておくと良いと思います。

それと通院治療費です。これが出るなら多少遠い病院でも、バスではなくタクシーが気兼ねなく使えるかな、と思います。
また、私の入院したのは地元の横浜でしたが入院時に知り合った患者さんの中には広島や神戸から来て入院されている方もいました。入院の前後には月に1回ペースくらいで通院もされるそうです。交通費も大きな負担になりますが通院治療費が付いていると助かりますね。
通院日数あたりいくら、というタイプの他に退院後の療養給付金という形で退院時に少しまとまった金額が出る会社もあります。

入院保障は大抵のがん保険に備わっていますが、ある一定までの日数は一般の医療保険でもカバーされます。がん保険は一般の医療保険以上の入院日数になった場合でも、無制限に支払われるので安心ですが、昨今のがん治療は入院自体が短くなっているので今後必ずしも必要かどうかはその時にならないとわからないので選択が難しいところですね。

健康保険適応の診療であれば高額療養費制度が利用できるので自己負担額はそれほど大きなものにはなりませんが、健康保険適応外の治療の場合、負担額が跳ね上がります。
そこでがん先進医療給付金を考えておきたいポイントです。
この特約をつけても、月々の保険料は100円前後増しくらいですし、先進医療の治療によっては1回200万円くらいかかるものもあるので、これは付けておきましょう。例え1回200万円の治療だとしても、治る可能性が大きいならみなさん受けたいと思いますよね。
ただし、先進医療対象は、いつ保険適応に変わるかわかりませんので変更事項のチェックが必要です。
なお終身型でも、がん先進医療特約は10年更新が多いので、この特約の保険料が変わることがあるということも頭の片隅に入れておきましょう。

定期型と終身型選択のポイント

最後に、定期型より終身型をおすすめする理由をもう少し詳しくご説明しましょう。
まずはそれぞれのメリット、デメリットを確認したいと思います。

 
終身型
定期型
メリット 〇一生涯変わらない保障が続く
〇保険料が上がらない
〇更新時に保障内容が見直せる
〇若い時の保険料が安い
デメリット 〇保障が変わらない分、内容が時代にそぐわなくなることがある 〇更新時に保険料が高くなる
〇更新できる年齢に限度がある場合が多い

上記の表のように、終身型のメリットは一度入っておけば保険料がずっと変わらないという点が挙げられます。

定期型のメリットとして若い時の保険料がかなり安いことがありますが、逆から見ると定期型のデメリットでもあり、一定期間(だいたい10年)の更新ごとに、年齢に応じて保険料が上がっていくことになります。
私の場合、今の年齢で終身型のがん保険に加入した場合と定期型に加入した場合とでは1回目の更新時にほとんどの定期型のがん保険の保険料が私の加入したい終身型を上回ることになってしまいます。だんだん収入が減少する年齢に近づくのに、支払う保険料の金額がアップしていくことは避けたいことです。
内容が時代にそぐわなくなることがある、という終身のデメリットも大筋の保障部分の内容が大きく変わるということが今のところあまり考えられないため、それほど考慮していません。今までも、細かい保障部分などが技術の進歩により変化したことはありますが、大きい部分の変革はよほどの事でもない限りなかなか無いと思います。

それと、もう一つ付け加えるならば保険商品についている付帯サービスも考慮してください。
付帯サービスの中にセカンドオピニオンサービスがついている商品がいくつかありますが、実際にがんになってみると、最良の治療方針を模索したいと考えます。その時に真っ先に探すのがその病気に詳しく、治療や手術の評価の高い医師のいる病院です。
とは言え、その医師の治療や手術の方針が最良の選択なのかわからないですから、他の医師に聞いてみようとなった時にこのサービスが付いていると、とても安心できると思いますし、実際に活用されている患者さんも多いようです。

今、加入できる範囲内で無理なく続けていける保険料で(←ここ大事ポイント!)自分に必要な保障の終身型がん保険を見つけて一生の安心をかしこく作っておきたいですね!

CFP ひまわりFPオフィス代表 矢澤 理惠

郵政省時代、東京都港区の特定郵便局に勤務。その後、横浜に転勤、半年後に民営化を控えた平成19年に退職し、独立系ファイナンシャル・プランナーに転身。
ファイナンシャル・プランナーを目指したきっかけは「知らないと損をする」ことを自分で実感したため。
祖父母の相続時に発生した「争続」、何の対策もしておらず2度も払った多額の相続税。
その時に「前もって知っている大切さ」に気づき、知っていると得をする、しいては幸せになることが世の中にたくさんあるとお知らせするべく、個人相談、執筆を行うとともに、相続・資産運用・クルマ好きのためのライフプランニングセミナーを3本柱としてとして活動中。横浜市在住。

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