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医療保険の満期金で「養老保険」に入ることを検討しています。

48歳男性既婚子供無しです。 
医療保険が満期になり今後、医療、死亡、がん、養老保険等を考えています。特に養老に関してどうなのか? おすすめなのかという事とその他どの保険にどのように加入したら良いのか教えて下さい。

(48歳 男性)

積極的には推奨しない

養老保険の特性をもう一歩踏み込んで考えて、「他の方法よりも優れている」と感じられるなら、加入してもよいと思います。

ファイナンシャル・プランナー(CFPR認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士株式会社ポラーノ・コンサルティング 代表取締役 深澤 泉

そもそも養老保険とは

養老保険は、一定の保険期間を定め、保険期間が満了したときに被保険者が生存していれば、満期保険金が支払われます。また、保険期間中に被保険者が死亡・高度障害状態となったときにも満期保険金と同額の保険金が支払われます。

つまり、被保険者の生死にかかわらず、保険期間中のどこかで保険金が支払われるわけです。

資産運用商品としてかつての人気商品。でも今は・・・

時代が昭和から平成に変わる頃、「一時払養老保険」が大変人気のある金融商品でした。保険料をまとめて支払い、そのまま10年間などの期間据え置いておき、満期が到来したときに、支払った保険料が大きく増えて戻ってきました。

これは、生命保険の予定利率が現在と比較して非常に高く、結果的に運用利回りが非常に高くなっていたからです。さらに、生命保険商品の予定利率は、契約したときのものが保険期間満了時まで継続しています。金利低下局面でも、当時の高い運用利回りが保たれる商品内容となっていたのです。

ご存知のように昨今低金利が続いています。「契約したときの予定利率が保険期間満了まで継続する」という商品特性が、現在では裏目に出ているわけです。したがって、この種の養老保険は、現在では魅力のない金融商品となっています。予定利率の見直しを行なうものや、生命保険会社の運用実績で配当が出るタイプの商品もありますが、低金利が継続している状況です。「無配当」の商品だと保険料は安いのですが、予定利率が上昇したときの波に乗ることはできません。

養老保険には、一定期間に被保険者が死亡したときに、死亡保険金が支払われる特性があります。すなわち、保険料の中には死亡保険金に充当する保険料が含まれています。そのため、現在のような低金利の局面では、保険期間全体で支払った保険料よりも、満期保険金のほうが少なくなるケースが多くなっています。養老保険に医療関連の特約をつけた場合には、それがさらに顕著になります。
最近は外貨建ての商品が出ているので、為替による利益を狙う選択肢が可能です(もちろん為替差損を破るリスクがありますが)。

「保障」の観点で見てみると・・・

死亡したときの「保障」という観点で、養老保険を見てみましょう。
収入の担い手が死亡した際に、生命保険で遺族にどの程度残しておけばよいかを考える場合、遺族の収入や公的な保障を勘案すると同時に、貯蓄がどのくらいあるかも判断基準となります。公的な遺族保障やある程度の貯蓄があれば、生命保険による保障は必要がない場合があります。

つまり、遺族の生活保障という観点からは、養老保険には、貯蓄ができてくれば不要となる可能性のある保障部分が組み込まれているのです。保障部分だけをはずすことはできないので、保障と貯蓄に対するニーズがこのような状況であるケースでは、満期保険金を受け取るまで、保障に関する保険料も合わせて支払い続けなければなりません。

養老保険を活用する人は・・・

現在の状況では、私は養老保険を積極的に勧めませんが、あえて活用してもよいのではという人は、おおむね次のような人であると考えます。

<生死にかかわらず資金準備をしたい>

例えば事例のご夫婦であれば、10年以内に夫が死亡した場合でも妻に世界一周旅行をするための資金を準備したい、というようなケースです。

<途中で換金しない資金>

契約して早期に解約すると、解約返戻金は支払った保険料と比較して、かなり少なくなります。したがって、基本的には限りなく満期に近いところまで解約しなくても差し支えない資金であることが前提となります。

<遺すべき人を明確にしたい資金>

生命保険契約では契約者が死亡保険金受取人を指定します。受取人が受け取った死亡保険金が、受取人自身の固有の財産になります。したがって遺産分割協議の対象となりません。ご相談の方の奥様以外に相続人がいないような場合には、特段養老保険とする必要はないと思われます。

<支払った保険料で税制上の優遇措置を受けたい場合>

養老保険の保険料を支払うと、生命保険料控除が適用され、所得税・住民税が軽減されます。軽減できた税金を運用収益と捉えるのであれば、養老保険の活用は選択肢といえます。ただし、既に死亡保障を行なう他の生命保険に年間の支払保険料の限度額まで加入し、一般の生命保険料控除を活用しつくしている人は、そのような効果は望めません。別枠で控除が受けられる個人年金保険の方が適していると思われます。

<非課税枠を使って死亡保険金を残したい場合>

相談者の奥様が受け取った死亡保険金は、相続税を計算する際の財産評価で、500万円×法定相続人数分の非課税枠があります。現金で残すよりも死亡保険として残したほうが相続税の節税ができます。これも実際に相続税がかかる場合に問題となるもので、相続税がかからない、という人には関係ありません。

養老保険の商品特性を十分に理解して、契約するかどうかについて判断することが大変重要であると思います。

ファイナンシャル・プランナー(CFPR認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士株式会社ポラーノ・コンサルティング 代表取締役 深澤 泉

1962年生まれ。1986年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
生命保険会社を経て、現在独立系FP会社である株式会社ポラーノ・コンサルティング代表取締役。
ファイナンシャル・プランナー(CFPR認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。キャリア・コンサルタント。中央学院大学アクティブセンター講師。
個人を対象として、保険、貯蓄・投資、住宅ローン、年金、生活設計などに関する相談を中立的な立場で行っている。近年は企業・労働組合の福利厚生制度としてのFP相談業務も多い。
また、企業・労働組合・FP教育機関・金融機関などでセミナーや講演を行っている。

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推奨

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