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変額保険での貯蓄は有り?

保険での貯蓄を考えていますが、できるだけ利率の高いものを選びたくて変額保険での運用を考えています。

リスクもあるのでやめた方が良いでしょうか?
変額保険はおすすめできるかを教えてください。(39歳 男性)

積極的には推奨しない

貯蓄や運用目的なら利用は慎重に!死亡保障目的であれば終身型の変額保険は有効!

CFP 1級ファイナンシャル技能士 宅地建物取引主任者
住宅ローンアドバイザー 証券外務員第2種
千春コンサルティング事務所 代表 金子千春

変額保険の最大の魅力は、低い保険料で死亡保障が確保できること。
もちろん、運用次第では、死亡保障も解約時の返戻金も増える可能性はありますが、変額保険での利率は定期のように運用利率が保証されているものではありませんので、貯蓄目的の商品としては不向きと言えます。
特に、住宅資金や教育資金や決まった金額が必要な資金の準備目的であれば、解約するタイミングによって受取額が変動する変額保険での運用は慎重に!

定額保険や定期などでは利率が低すぎる、「増やす」ことを重視したいという人は、NISA(少額投資非課税制度)や確定拠出年金などを活用して、積立投資信託を始めるのがおすすめ!

変額保険ってどんなもの?

まずは、変額保険がどのようなものかを確認しておきましょう。変額保険は、株式や債券を中心とする特別勘定で資産を運用し、その運用の実績によって保険金や解約した際の受取額が増減する保険です。運用対象としては、一般的に「世界株式型」「世界債券型」「日本株式型」「日本債券型」「バランス型」など6~8本程度の複数タイプのファンドが用意されており、世界株式に20%、日本株式に20%・・・など資産配分は契約者が自由に指定できます。もちろん、運用中に他のファンドへの預け替え(スイッチングといいます)も可能です。

運用実績が良く、解約返戻金が増えて総払込保険料を上回れば、満期前に解約して利益を手にすることもできますが、運用実績が悪い時に解約をすると解約返戻金が総払込保険料を下回る、つまり元本割れすることもあります。
つまり変額保険は「保険」という仮面をかぶった「積立投資信託運用」なので、貯蓄目的で減らしたくない人には不向きの商品といえます。

もし、貯蓄目的で「なるべく減らしたくない」「増える可能性も捨てたくない」さらに「死亡保障をつけておきたい」のなら、利率の最低保証がついており、保険会社の運用が良かっ たときに利率を上げてもらえる変動利率型終身保険の方が適していますね。

変額保険は終身タイプを死亡保障として活用するのが効果的

では、変額保険のメリットはどこにあるのでしょうか?
変額保険は、解約返戻金や満期保険金は運用実績次第で変動しますが、死亡・高度障害保険金である基本保険金には最低保証があります
予定利率は高めなので、例えば同じ金額の終身死亡保障をつけるのであれば、一般勘定で運用する終身保険よりも変額終身保険の方が保険料は安くて済むのです。

例)35歳男性 死亡保障1,000万円 保険料60歳払 期間は終身
  A保険会社の変額終身保険に加入  月額2万860円
  B保険会社の終身保険に加入    月額2万3,580円
  ※いずれも2014年8月時点の保険料

つまり、途中で解約をせず、あくまで死亡保障として活用するのであれば変額保険は有利、といえますね。ただし、有期型で受け取ることができる満期保険金は運用実績次第で最低保証はないので要注意。終身型を活用することをおすすめします。

「インフレ対策」や「増やす」に重視を置くなら、投資信託の積立がおすすめ

もし、現在のような低金利では満足できない!多少リスクはあっても「増やす」ことを重視する!というのであれば、変額保険ではなく、積立投資信託がおすすめです。

というのも、どちらも「投資信託で運用」するという点では同じですが、変額保険は「保険」なので、保険料からはファンドの信託報酬だけでなく、死亡保障などに係る費用や保険契約の締結・維持にかかる費用が差し引かれ、それらの費用を除いた金額がファンドで運用されます。つまりコスト負担が重いのです。

一方で、投資信託を購入する場合の主なコストは申込手数料と信託報酬ですが、ノーロード型の商品を選んだり、パッシブ型など信託報酬が安いものを選べばコスト負担を抑えて、運用資金にその分多く回せることになります。また、ファンドの種類が限られている変額保険と違って、たくさんの商品の中から自分に合ったものを選ぶこともできます。

さらに、2014年1月1日より始まった「NISA(少額投資非課税制度)」を利用すれば、2014年1月から2023年まで、最長5年間で毎年100万円(5年間で最大500万円)までの運用益が非課税となるのです。非課税枠を繰り越せば最長10年まで非課税を活用できるので、長期的な積立にも有利です。最近では、NISA利用時には販売手数料を無料にする、などの独自のサービスも実施しているところがあるようです。

なお、自営業者の方であれば、個人型の確定拠出年金を活用することで、運用も非課税、月額6万8,000円までの拠出について、全額所得控除が受けられるという大きな税制メリットを受けることも可能です。

自分が使える仕組みを把握すると同時に、しっかり情報を集めて有効に活用したいですね。

CFP 1級ファイナンシャル技能士 宅地建物取引主任者
住宅ローンアドバイザー 証券外務員第2種
千春コンサルティング事務所 代表 金子千春

約9年間の窓口経験を経て2004年よりFPとして独立。文京区民向けのライフプランセミナー、国家公務員共済組合主催の住宅ローンフェア講師、住宅展示場での住宅ローンセミナーやローン相談、宅建資格講座の講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ということのないようにという観点から、セミナーや執筆を中心に幅広い分野で活動中。

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