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変額保険での貯蓄は有り?

保険での貯蓄を考えていますが、できるだけ利率の高いものを選びたくて変額保険での運用を考えています。

リスクもあるのでやめた方が良いでしょうか?
変額保険はおすすめできるかを教えてください。(39歳 男性)

積極的には推奨しない

「保険」商品はそもそも蓄財には向かない

CFPR、1級ファイナンシ ャル・プランニング技能士、
首都圏ファイナンシャル・プランニング技能士会理事
(株)マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

そもそも論で言えば、「保険」商品はどの商品であっても貯蓄(蓄財)には向かないと考えた方が良いでしょう。

その一番の理由は皆さんが支払っている保険料の仕組みにあります。

皆さんが保険会社に支払う「保険料」は分解すると、

  1. 保険金・給付金・満期返戻金の支払いなどの財源となる「純保険料」
  2. 保険会社が保険事業を営む上で必要な費用に使われる「付加保険料」

の二つに分解することができます。

「付加保険料」が運用(貯蓄)の効果を大きく減らす

(1)の「純保険料」は、実際に契約者が死亡した際の保険金の支払いや中途解約や保険契約満期時に返金するのに使われる保険料です。こちらは契約中に契約者が死亡する確率や各保険会社で設定する運用可能な利回り(予定利率)や中途解約率などによって計算されます。契約者が死亡する確率は、保険各社によってそれほど異なりませんので、「純保険料」の多くは予定利率などによって変化します。

次に(2)の「付加保険料」は保険会社が保険会社であり続けるための費用、例えば新規契約を獲得するためのコスト(営業の人件費や広告費など)、会社を維持するためのコスト(賃料やスタッフ人件費など)、契約を維持するためのコスト(コールセンターや本社スタッフ人件費など)の為に使われています。

仮に保険料が月額10,000円、付加保険料率が20%だとした場合には、

と毎月10,000円保険料を支払っているにもかかわらず、実際には8,000円しか契約者の直接の資産形成には繋がっていない事になります。

この例では仮に20%を付加保険料率としましたが、この20%という数字は付加保険料率を公開している某ネット生命保険会社の数字を参考にした数字です。しかし付加保険料率を非公開にしている他の保険会社では、これ以上の付加保険料率になっていることが予測されます。

つまり、付加保険料率が高い保険会社ほど、相談者が目的としている「貯蓄」とは程遠い金融商品となってしまうでしょう。

「保険」と「貯蓄」は切り分ける

したがって、貯蓄の効率性を考えた場合には、「保険」は保障として掛け捨て、「貯蓄」は「貯蓄」とはっきり切り分けて考えるべきです。

これは、「変額保険」に限らず、他の貯蓄性の高い保険商品として挙げられる事の多い

  • ・終身保険
  • ・養老保険
  • ・学資保険

などにも共通している話です。

したがって、「貯蓄」を目的とするのであれば、保険加入時に「貯蓄性」を謳っているような保険商品には加入する必要はありません。

それではどうしたらよいのか?

相談者さんは

  1. 「貯蓄を考えている」
  2. 「利率が高いものを選びたい」

とのことなので、まずはご自身に保険商品の基本でもある「保険」の死亡保障が必要なのかどうか?を考えてください。

必要死亡補償額の考え方はここに出ていますので、計算してみてください。

もしも、ご自身にとって

「死亡保障が必要だ」

ということであれば、それは掛け捨ての(低減)定期保険や収入保障保険などでカバーする必要があるでしょう。

「死亡保障が必要ない」

のであれば、やはり貯蓄(蓄財)に保険商品を利用する必要がないでしょう。

仮に、変額保険の中に組み込むような、リスク性資産(国内外の株式や債券など)を使って運用を考えていた場合には、保険商品ではなく、証券会社などでシンプルな株式や債券の投資信託などを利用して蓄財をしていく方が、はるかに効率的な結果が得られます。

もしも株式や債券などの価格変動リスクを取りたくないということであれば、元本割れすることのない「個人向け国債」(特に変動金利の10年物)を購入しておけば良いでしょう。

CFPR、1級ファイナンシ ャル・プランニング技能士、
首都圏ファイナンシャル・プランニング技能士会理事
(株)マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

慶應義塾大学経済 学部でファイナンスを学び卒業後、リース会社に就職。2004年から不動産ベンチャー企業にて営業、企画を担当しながら不動産投資実務についても研究。
2008年個人のファイナンシャルリテラシーの向上をミッションとした株式会社マネーライフプランニングを設立。現在個人を中心にコンサルティング業務を行う。
投資勉強会や株式投資クラブの運営など、活動の範囲は幅広い。
主な著書に『35歳貯金ゼロなら親のスネをかじりなさい』(すばる舎リンケージ)
『くらしの相続Q&A~もめない相続のために』(新日本法規 共著)
『いわゆる「当たり前の幸せ」を愚直に追い求めてしまうと、30歳サラリーマンは、年収1000万円でも破産します。』(東洋経済新報社)などがある。

【主な講演】
2012年9月   シティリビング「女性のための投資」セミナー
2012年10月  富山県魚津商工会議所年金セミナー
2012年10月  慶應ALT三田会 講演
2013年2月   FPnexteianカンファレンス 講演

【主なTV出演】
2013年2月  テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」
2013年5月  NHK「NEWS WEB」
など出演多数

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対

推奨

積極的には推奨しない

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