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女性保険って必要ですか?

医療保険の加入を考えています。
ご相談している担当のFPさんから、30~40代は女性特有の病気にかかる可能性が上がるので、女性保険の方がいいのではないか?と提案されています。

確かに、女性特有の病気になった際、上乗せして保障されるのは有り難いですが、そのために保険料が上がるのはちょっと・・と思ってしまいます。

女性保険と医療保険だったら、女性保険を選ぶ必要性はありますか?

(30代 女性)

積極的には推奨しない

女性保険はあくまで上乗せ保険。加入の目的を整理してから検討を。

CFPR 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 くらしと子育てママを応援するFP 有田美津子

女性保険の保障の範囲は各社様々ですが、主に以下3つのリスクや病気に手厚く備えることが目的です。

  1. 帝王切開や流産など妊娠や出産に伴うリスク
  2. 子宮筋腫や卵巣のう腫など若い時からかかりやすい女性特有の病気
  3. 30代から増え50代でピークを迎える乳がんや子宮がんなど女性特有のがん

女性保険を勧められると、「どれもかかりそうな気もするし、入ったほうが安心かな」と思ってしまうかもしれませんね。でも、女性特有の病気で入院したからといって、一般の医療保険で保険金が出ないわけではありません。女性保険はあくまで上乗せ保険

たとえば女性疾病以外で入院した時は1日1万円の入院給付金だけど、女性疾病で入院したら5千円上乗せされる、ということなのです。保険料アップの負担とのバランスを考えると、必ずしも女性保険が必要とは思いません。実際に3つのリスクにかかる費用から、女性特有の病気に備えるお金について考えてみましょう。

妊娠・出産のリスクへの備え

女性の社会進出が進み35歳以上の出産がこの20年間で約3倍(※1)に増えています。高齢出産が増えるにつれて妊娠や出産にリスクを感じる人も増えています。実際に胎児や母体を守る医療技術の進歩もあり、5人に一人は帝王切開で出産。この20年間で倍増(※2)しています。

帝王切開はお金がかかる!女性保険に入らなくては!と思うかもしれませんが、実は健康保険の制度が使えます。通常の病気と同じように医療費は3割負担。さらに入院や手術で高額な医療費がかかった場合は、高額療養費の制度を使い、1カ月の自己負担額の上限は約9万円です。帝王切開以外にも、流産や早産、つわり、妊娠高血圧症候群などで治療や入院をした場合も健康保険が適用になります。

また出産育児一時金や、会社員なら出産手当金や育児休業手当金の制度もあります。出産育児一時金は一人の子どもにつき42万円、産休・育休中は月給の3分の2が支給されることも考え、家計の収支や預貯金の状況から、上乗せの保障が必要かどうかを検討しましょう

女性特有の病気やがんに備えるお金

子宮筋腫や卵巣のう腫は女性ホルモンが活発な若い時期に多い病気。妊娠時の検査で発見されることもあります。かかる頻度は高いかもしれませんが、入院日数が短いのも特徴です。もちろん治療すれば健康保険は適用になります。

女性保険で備えたい病気ナンバーワンは女性特有のがんでしょう。最も女性がかかりやすい乳がんは30代から増え始め、50代をピークに患者数は19.2万人(※3)。抗がん剤や放射線治療、ホルモン療法など治療方法も多種多様で、療養が長期にわたる場合もあります。また、乳房の再建手術など健康保険が使えない場合(※4)は、100万円以上の費用がかかることもあります。高度な治療で医療費が高額になる傾向がありますが、通院治療が増え入院日数は短くなっているため、女性保険の入院日額の上乗せでは対処できないこともあります。むしろ、がんと診断されたら100万円など、まとまったお金が出る診断給付金特約や先進医療特約が有効な場合もあります。

また、がんのみに備えたいのであれば、がん保険も選択肢の一つです。「がん」に限られた保障であるため、保障の手厚さに対する保険料は割安になります。

保障は家計やライフステージから総合的に考える

一般の医療保険でも入院や手術といった基本的な保障は十分カバーできます。女性保険は、保障範囲や年齢によって1日5千円の入院給付金を上乗せするために、保険料が月千円以上アップすることも。限定された病気で入院しないともらえないお金のために日々の家計を圧迫するより、基本の医療保険と貯蓄でまかなう家計を目指したいものです。

また、どうしても女性特有の病気が心配な場合は、子どもが小さく、ヘルパーやベビーシッターが必要になる一時期や、住宅購入や将来の教育費のための積み立てが十分ではない時期だけ特約で入り、ライフイベントが一段落し、貯蓄のめどがついたら特約を外して保険料を抑える方法もあります。

病気に備えるお金は、医療保険と女性保険という二つの選択肢だけではありません。家計収支や貯蓄や負債の状況、今後のライフイベントから総合的に考え、医療に備える預貯金を補完するための一つの選択肢として検討していただきたいと思います。

※1 厚生労働省平成23年人口動態統計月報年計より合計特殊出生率の推移(年齢階級別)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/kekka02.html

※2 厚生労働省平成22年度我が国の保健統計 2-11医療施設の動向
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hoken/national/dl/22-03.pdf P35

※3 厚生労働省平成23年患者調査(傷病分類編)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/

※4 乳房の再建手術でも手術の方法によって健康保険が適用になる場合もある。

CFPR 1級ファイナンシャル・プランニング技能士くらしと子育てママを応援するFP 有田美津子

大学卒業後、地方銀行にて融資業務担当。結婚、出産後7年間の専業子育て主婦。その後、住宅販売、損保会社、都市銀行の住宅ローン窓口を経て独立。
現在は女性ファイナンシャル・プランナーのグループ「なでしこFPサロン」のメンバーとともに、さまざまな専門分野を持つFP・士業と連携しながら、講演、執筆、相談業務を行っている。
生活者の目線で「世代をつなぐ」がFPとしてのテーマ。

<共著・監修>   「トクする住宅ローンはこう借りる」
<雑誌・テレビ等> LEE、ニッキンマネー、FPジャーナル、BSジャパン他

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積極的には推奨しない

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