医療保険の加入を考えています。
ご相談している担当のFPさんから、30~40代は女性特有の病気にかかる可能性が上がるので、女性保険の方がいいのではないか?と提案されています。
確かに、女性特有の病気になった際、上乗せして保障されるのは有り難いですが、そのために保険料が上がるのはちょっと・・と思ってしまいます。
女性保険と医療保険だったら、女性保険を選ぶ必要性はありますか?
(30代 女性)
CFPR(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 FPライフレックス 代表 高橋浩史
女性が医療保障を考える時に悩みがちな質問ですね。一般的に女性保険と呼ばれる保険は、ひと言でいえば「女性特有の病気は保障を上乗せする医療保険」です。
保険会社によっては、女性特有の病気だけでなく、「がん」の場合でも保障が上乗せされます。ただし、保障が上乗せされる分だけ、普通の医療保険よりも保険料は高くなります。女性は病気だけでなく出産時のリスク、入院中の収入減、育児のできないリスクなども考えられます。
医療保険とのコスト差も考慮した上で納得できるのであれば、女性にとっては精神的にも金銭的にも支えとなる保険になるでしょう。
まず、女性保険(女性疾病特約)にはどのような特徴があるのか見てみましょう。ベースとなる保障は通常の医療保険と同じです。入院した時の1日当たりの入院給付金や、手術の種類によって受け取る手術給付金など、医療保険と同様に保障されます。
女性保険では、これらの保障に上乗せする形で、女性特有の病気や女性に多い病気(以下、女性疾病)で入院・治療を受けたとき時に、保障が厚くなります。女性特有の病気とは、以下のような病気のことを言いますが、保険会社によって、保障が上乗せされる女性疾病の種類は違います。
女性保険の対象になる女性特有の病気の一例 |
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・乳がん ・子宮がん ・卵巣がん ・子宮筋腫 ・子宮内膜症 ・乳腺症 ・リウマチ ・早流産 ・子宮外妊娠 ・妊娠中毒症 など |
具体的に保障の上乗せ内容を見ると、ほとんどの女性保険では入院日額が5,000円上乗せされる他、保険会社によっては手術給付金が増えたり、女性疾病だけでなく、上乗せになる範囲がすべてのがんにまで広がる場合もあります。例えば、通常の病気やけがで入院日額5,000円であれば、女性疾病ならさらに5,000円がプラスされ、1日当たりの入院保障が10,000円になるといった内容です。
入院保障を中心に保障が上乗せされる女性保険ですが、保険料は医療保険よりも高くなります。ある保険会社で見てみると、医療保険をベースに女性疾病やがんの保障を厚くした女性保険では、保険料は約1割程度高くなります。
もしも30歳で加入して60歳まで30年間保険料を払い込むとすると、仮に医療保険が毎月3,000円の保険料だとすれば、女性保険は3,300円になり、30年間に払い込む保険料の総額で比べると、女性保険の方が約11万円多く保険料を払うイメージです。
しかし、その分保障もアップします。例えば、女性疾病で7日間入院した場合、入院日額5,000円が基本の場合は、プラス5,000円が上乗せされますので入院日額が1万円となり、7日分で7万円を受け取ることができます。
女性疾病をデータで見てみると、女性が罹るがんの種類では、乳がん患者の多さが際立っていて約19.2万人。次いで結腸がん、胃がんが続き、4番目に子宮がんの5.5万人になっています(厚生労働省「平成23年 患者調査」より)。
また、医療保障として女性保険を考えるとともに、今の時代は女性の働き方も考えた保障選びの視点が必要です。配偶者のいる女性で働いている人の数は1,578万人、割合でみると47.8%です(総務省「平成24年 労働力調査」より)。
30歳から40歳代の女性なら、家計の中で収入を頼りにされているケースも少なからずあると思います。つまり、女性が働けなくなった時の収入減に備えるという側面から、女性保険を検討してもいいのではないでしょうか。また、子育てのためにいったん仕事を辞めて専業主婦であったとしても、入院治療中のベビーシッター費用として備えることもできるでしょう。
日本は、国の健康保険制度が充実していますから、女性保険を含め医療保険の必要性は絶対ではありません。貯蓄をしっかりできれば、保険に頼らずに済むこともあるでしょう。
しかし、医療保険に上乗せされる女性保険の保障内容と保険料の差を比較して、保障とコストのバランスに納得できるなら、女性にとっての「安心料」と考えて、女性保険を選んでみてはいかがでしょうか。
住宅や保険など高額な買い物時に「お金のことを知らないことは損をする!」ことを痛感し、書籍編集者として出版社勤務のかたわら、独学でファイナンシャルプランナー資格を取得。2011年にFPとして独立後は、金融機関出身のFPとは違う「業界用語やカタカナ言葉を使わない、日常の言葉で語れるファイナンシャルプランナー」として、相談時の話しの分かりやすさには定評がある。金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌、webでの執筆業務も行う。
<主な著書>
『災害に強いライフプランニング』(近代セールス社/共著)
『保険最新ランキング2014』(イースト・プレス/共著)
Facebook https://www.facebook.com/fpliflex
女性特有の病気も一般的な病気も同じと考えている方には必要無いといえる。
ある程度の資産ができたら、医療保険は卒業してもいいともいえる。
病気に備えるお金は、医療保険と女性保険という二つの選択肢だけではない。
女性保険(女性疾病特約など)を検討するのであれば、生活習慣病特約の購入をより勧めたい。
女性疾病の保障自体は女性保険だけでなく、一般の医療保険でももちろんカバーされるので、女性保険でなくても大丈夫。
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