医療保険の加入を考えています。
ご相談している担当のFPさんから、30~40代は女性特有の病気にかかる可能性が上がるので、女性保険の方がいいのではないか?と提案されています。
確かに、女性特有の病気になった際、上乗せして保障されるのは有り難いですが、そのために保険料が上がるのはちょっと・・と思ってしまいます。
女性保険と医療保険だったら、女性保険を選ぶ必要性はありますか?
(30代 女性)
CFP認定者(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)、1級FP技能士、宅地建物取引主任者、生命保険募集人、損害保険募集人、 生命保険協会認定FP、証券外務員二種 特定非営利活動法人、日本ファイナンシャルプランナーズ協会富山支部会員 横山純子
健康で若いと保険料は安いので、日額5千円の終身払いなどであれば月にして2000円ほど、女性保険と一般医療保険の差は数百円というところもあります。
通常分娩は給付金の支払い対象になりませんが、帝王切開の手術や、その他分娩に関するトラブルのほとんどは、給付金の支払い対象となります。今やほぼ5人に1人が帝王切開で分娩している状況からすると、妊娠を望んだ時点で医療保険の契約をすることは、特定の時期に予想される大きいリスクへの準備をすることになります。
月額2000円ほどの、普通の医療保険より数百円高い保険料で、妊娠出産にかかわる手術などを受ける可能性が高い時期に備えられるのであれば、ちょっとお得感があるかもしれません。
当然の事ながら、性別や年代によって保険料の設定は大きく異なってきますが、その差を若干小さくして保険会社は料金設定をしているところが多いようです。ですから高齢になるほど高額になる保険料の差を本来より小さくするために、若い世代の保険料の設定を割高にして中高年の保険料を割安に設定しているところが多いのです。
また保険料の内訳を公開している会社はほとんどありません。というのも保険の原価の部分が判明すると、本来の契約者の支払いにあてる部分がどれだけで、保険会社の経費に当たる部分の割合がどれだけか?あからさまになることを避けているような気がします。
開示したくないということは、その比率が契約者にとって納得いかない数字であるからなのでしょうか?
当然ながら、保険会社の経費部分の一部が販売者にも支払われる訳なので、契約者にとってはムダの多い保険でありながら、販売者にとっては利益の大きな保険であるという利益相反の関係のなかで、あなたに保険を勧める人はどちらの利益を重視しているか?を見極めることが大切です。
そのためには、保険や、いやもっとその前に自分が所有している社会保障がどんなものであるか正しく理解することが必要です。そしてそれが自分や家族の未来にとってどのような働きをし、そもそも自分のやりたいことは何なのか?自分が大切にしたいものは何なのか?それを支えるものとして、この保険はきちんと働いているか?と考える必要があるのです。
そもそも保険ってどんなものでしょう?
起こる可能性はとても低いけれども、もし起こったとしたらとても高額のお金が必要となるようなことに備えるものです。
保険の適用がない先進医療を受ける場合は、もちろん高額な医療費が必要となりますが、その可能性は極めて低いものです。こういう場合こそ保険で対応するとして、その他の保険の適用される医療においては、いかがでしょうか?
2人に1人ががんになるとはいっても、それは80代まで生きていた場合であって、年齢や性別でがんになる確率は大きく違ってきます。また日本の保険制度には高額療養費制度があるので、ほとんどの人はどんなに高額な治療を受けても、それが保険の適用内であれば月々の治療費の支払いは9万円ほどですんでしまうことになります。であれば急な病気やケガなどに対応するための貯金が100万円あればとりあえずは大丈夫ともいえるのではないでしょうか?
起こる可能性はあまり高くなく、起こったとしても、とてつもなく高額のお金が必要になる訳でもないのであれば、ある程度の資産ができたら、医療保険は卒業してもいいともいえるのです。
ましてや、治療方法は医学の進歩などによって内容がどんどん変化していくものです。
ガンなど、以前に比べ病巣を切除する手術が減り、したがって入院日数も減り、通院で治療をすることが多くなった場合など、給付金の請求をしたくてもできない(給付条件に合わない)保険が発生してきます。したがって、これがベストと思って用意した保険も年齢や環境や社会の変化に対応しきれなくなっていないか?定期的にチェックが必要なのです。
また、ある程度の貯蓄があれば保険を卒業してもかまわないということが理解できても、なかなか今の契約を解約できない人も多いのです。それが無理のない程度の金額であるからなのかもしれませんが、必要ないからといってさっさと止めることがなかなかできないのもよくあることなのです。
時間とともに、本当にこれは無駄なものだという意識が成熟したところで初めて解約にいたるのかもしれません。
いずれにしても、お金とどう付き合うかでこれからの生き方が変わってくるのです。
信州大学卒業。ハウスメーカーに18年、不動産会社に8年の勤務を経て平成22年5月よこやまFP事務所設立。
平成23年10月、屋号を「サンク∞マネー よこやまFP事務所」とする。
人生の収支であるマネーバランスを整えて、生涯お金に悩まなくてよいように、心も豊かに生きることができるように、金融商品の利用の実行支援を行う相談業務や、セミナー講師として活動中。
お金と上手につきあって正しい知識を得るセミナーを随時開催中。大和リビング株式会社の管理賃貸物件の入居者向け雑誌「はのん」に「知識の泉」掲載中。
女性特有の病気も一般的な病気も同じと考えている方には必要無いといえる。
保障とコストのバランスに納得できるなら、女性にとっての「安心料」と考えて、女性保険を選んでみては。
病気に備えるお金は、医療保険と女性保険という二つの選択肢だけではない。
女性保険(女性疾病特約など)を検討するのであれば、生活習慣病特約の購入をより勧めたい。
女性疾病の保障自体は女性保険だけでなく、一般の医療保険でももちろんカバーされるので、女性保険でなくても大丈夫。
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