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教育資金の積み立てに終身保険を提案された…。

学資保険の加入を検討していて、保険相談にいきました。

そうしたら、学資保険ではなく、終身保険を提案されました。
教育資金の積み立てだったら終身保険の方が良いのでしょうか?

(28歳 女性)

推奨

フレキシブルに使いたいなら終身保険

CFPR、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 福島えみ子

教育費の積み立てといえば学資保険というイメージが強いかもしれませんが、使い方や教育プランによっては終身保険も選択肢として有効です。

学資保険と迷っておられるとのことで学資保険をおさらいしておくと、学資保険は、毎月一定額を保険料として支払い、進学年齢にあわせて一定の学資金(進学学資金(お祝い金)・満期学資金)を受け取る保険です。保障としては、契約者である親が死亡・高度障害となったときにそれ以後の保険料は免除のうえで学資金が受け取れるものが中心で、中には子どもの病気やケガなどに対応できるものもあります。
なお、貯蓄性を重視したものと保障を重視したものがあり、保障を重視したものでは必ずしも満期学資金が払った保険料総額を上回るものではない点、注意が必要です。

学資保険では不自由に感じるケースとは?

ところが、この進学時年齢で学資金が出る学資保険ならではの特徴が、教育資金の使い勝手に影響する場合もあるようです。そのひとつが教育の選択肢の多様化です。

教育といえば小学校に6年間、中学校・高校にそれぞれ3年間通ってさらに大学や短大、専門学校に進学のパターンがまずほとんどでした。しかし最近は、中学や高校からでも留学したいと願う声も耳にしますし、短期や1年の留学以外にも海外のボーディングスクール(寄宿学校)に入れたい、インターナショナルスクールに通わせたいと希望する家庭もめずらしくなくなりました。

そういった学校では、上級の学校への進学年齢が日本とは異なる場合があり、その場合、学資保険であれば本当に学資金がほしい時期に手にできるとは限りません。またこれらの学校では9月入学がほとんどですから、学資金の受取タイミングさえも必要時期とずれる可能性もあります。

子どもの将来もフレキシブルにしておきたい

留学などの希望がないにしても、東京大学で秋入学導入が検討されたように、今はまだ小さい子どもが大学に進学する頃には教育制度の大幅な変更がないとは限りません。

また、子どもがまだ小さいうちから適性がわかるケースは稀なことでしょう。子ども自身の適性や夢、希望にあわせて教育方針や教育費の使い方が将来変わる可能性は充分にあります。そういった先々の進路、教育方針の変更や子ども自身の希望・夢にあわせてフレキシブルに教育費を使いたいという場合、終身保険の「解約返戻金」を使えば対応可能です。解約返戻金とは、保険を解約した場合に戻ってくるお金のことです。

終身保険ならどう使う?

学資保険がわりで多く使われるのが、終身保険のひとつ、「低解約返戻金型終身保険」です。これは、保険料支払期間中は解約返戻金を抑えることで保険料が割安になり、保険料支払終了後は解約返戻金の率が通常の終身保険よりも大きめとなるタイプの保険です。

この保険では、保険料支払終了後、解約返戻金が支払い保険料総額を上回り始めれば、あとは年々返戻金額がアップしてゆきます。つまり、返戻金が増え始めて支払った保険料分の元が取れ始めたら、どこで解約してもよいわけです。

保険料払込期間を10年前後としておけば、子どもが急に私立の中学校を受けたいと言い出した場合でも、損することなく解約返戻金を受け取り、私立の学費や受験のお金に充てることも可能です。また、保障面では、死亡時や高度障害時にまとまった額の保険金がおりるので、もしものときに学費をはじめ子どものための生活資金が滞る心配がないメリットもあります。

子どもができる前からの教育費準備もアリ

終身保険にはもうひとつ、学資保険では叶えられないメリットがあります。それは、子どもを予定しているけれどもまだ妊娠もしていない妊活中でも教育費準備が始められるということ。学資保険は子どもが対象となる特性上、赤ちゃんがまだお母さんのお腹にさえいない状態では加入ができません。
教育費が人生のうちでも大きくお金のかかる費目であることは、広く認識されつつあります。大きなお金は急には用意できないもの。早いうちから準備を始めれば始めるほど、教育費として月々準備する額は負担が軽くなります。

どちらがよいかは考え方次第

もちろん学資保険、終身保険それぞれにメリット・デメリットがあります。 決まった時期に自動的に確実に学資金を受け取りたい人もいるでしょうし、終身保険のフレキシビリティに魅力を感じる人もいるでしょう。

さらに言うならば、教育費は必ずしも保険で用意しなければならないものではありません。保険にはメリットもある一方、保険料を長期に渡って最後まで払いきらなければそのメリットを最大限享受できないこともあります。フレキシブルさを最も追求するなら、預貯金が使い勝手がよい場合だってあるのです。

家族でどんな夢を描いていくのか?ライフプランや希望は?まずはそこから出発して、それぞれの家庭の事情や教育プランをふまえた使い勝手を考えることが結局はベストな選択をする近道といえます。

CFPR、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 福島えみ子

大学卒業後、銀行勤務。各銀行にて資産運用相談業務、債権証券化業務などを経験。その後、相続、金融、不動産分野の案件を扱う法律事務所に転職。人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感し、お金を人生の味方につけ、お金を通じて人生を豊かにHappyにするお手伝いができればとファイナンシャルプランナーの道を選ぶ。法人・個人向けセミナー・研修や各種執筆を通してお金の知識をわかりやすく伝えるほか、その人にぴったり合うオーダーメイドのマネープランにこだわった個人相談業務を展開中。

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