• 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

教育資金の積み立てに終身保険を提案された…。

学資保険の加入を検討していて、保険相談にいきました。

そうしたら、学資保険ではなく、終身保険を提案されました。
教育資金の積み立てだったら終身保険の方が良いのでしょうか?

(28歳 女性)

積極的には推奨しない

目的が明確、わかりやすいさから、「学資保険」がいい

CFPR、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 株式会社 ワーク・ワークス 代表取締役 中村宏

子供の教育資金の準備方法として「終身保険がいいか」、あるいは「学資保険がいいか」を選択をするならば、「学資保険」に軍配を上げたいと思います。
その理由は、「学資保険」のほうが目的に合致している、内容や使い方がシンプルでわかりやすい、効率的に貯める商品があるからです。

また、保険証券の被保険者欄に子供の名前が記載されるので「この子のために」という気持ちを込めて教育資金の準備に取り組むことができます。貯蓄力のアップにひと役買っているとも言えます。

準備する教育資金はおもに入学時にかかる一時費用

時間をかけてコツコツ準備をする必要がある教育資金は、おもに学校に入学するときに一時的にかかる大きな費用です。小学校、中学校、高校、大学の受験関連費用や入学金などが代表的

小・中・高校を公立中心に考えるならば、準備が必要な費用は大学入学関連の資金です。受験関連費用・入学金・1年次の授業料、ひとり暮らしをさせる場合の新生活準備費用などです。大学の場合は2年目以降の授業料も、ある程度準備をする必要があるかもしれません。

子供が大学受験を迎える前までに準備する金額の目安は、自宅通学の場合で200万円、ひとり暮らしをさせる場合は300万円。この程度準備できていれば、受験時期から大学1年にかけてかかる費用をおおむねカバーすることができるでしょう。

学資保険は必要時期に必要な金額が支払われる商品性になっている

学資保険はたくさんの保険会社が提供していますが、いずれも、学資金を受け取る時期を複数のコースから選び、受け取る金額も複数の選択肢から選ぶことができるようになっています。

学資金を受け取るコースには、「小・中・高・大それぞれの入学前」、「中・高・大の入学前」、「高・大の入学前」、「大学入学前のみ」、「大学の各学年進学前」、「大学入学前と各学年進学前」などがあります。
学資金は必要な時期と金額にパターンがあるため、自分の条件に近いものを比較的簡単に選ぶことができます。

学資保険は、保険料を支払っている途中に親が亡くなった場合、一般的に以降の保険料は免除になりますが、それでも決まった時期がくると学資金を受け取れることが大きな特徴です。

終身保険での教育資金の準備は、途中の解約が前提

終身保険は死亡保険です。終身保険は中途解約すると解約返戻金というお金が戻ってくる「貯蓄機能」を持っていますので、この機能を上手に使えば、教育資金を準備することができます。

終身保険では、親が保険料を支払って被保険者になります。親が万が一死亡したときには、支払われる死亡保険金を、以後の子供の教育資金として活用することができます。この保険に入る時のコツは、必要な時期に解約すれば、学資金として必要な解約返戻金を受け取れるように保険を設計することです。そうすることで、親が生きていても学資金を確保することができます。

たとえば、子供の大学受験の前年の解約返戻金が200万円になるように設計するのです。
ふつう死亡保険は、死亡した時に受け取る死亡保険金を決めて設計をするのですが、教育資金準備が目的で活用する場合は、解約返戻金を決めて設計することになるので、少しわかりづらいでしょう。

また、注意すべき点は、保険料を払っている最中に解約をすると「元本割れ」をすること。「元本割れ」とは、支払保険料総額よりも解約返戻金のほうが少なくなることです。せっかく貯める目的で保険に入ったのに「元本割れ」しては困ります。
解約は、保険料を払い終えたあとに行う必要があります。

「戻り率」も重視する!

「戻り率」とは、「受け取る保険金や解約返戻金の総額」/「支払保険料の総額」。
「戻り率」の高い保険ほど、貯蓄性が高い、つまり貯める力がある保険です。学資保険も終身保険も、一定の条件下でそれぞれ「戻り率」を算出して比較し、100%を下回るものは真っ先に選択肢から排除したほういいでしょう。

なお、「戻り率」は保険料の支払方法によっても異なります。短期間で保険料を払い終えることができる設計にすると「戻り率」は高くなります。
近年は「戻り率」の高い学資保険が登場しています。

教育資金の準備方法を保険に限定する必要はありません。財形貯蓄や積立定期預金などを活用する方法もあります。自分に合ったやり方を選択すればいいでしょう。

財形貯蓄や積立定期預金は、保険と違って、積立額を途中で容易に変更することができます。また解約しても元本割れをすることはありません。貯蓄習慣が身についている人は、融通のきく預貯金がいいでしょう。逆に、貯蓄習慣ない人や苦手な人は、保険を活用して資金を貯めるやり方が向いています。

保険を使う場合でも、必要資金の全額をカバーしようとする必要はありません。ムリをしてカバーすると毎月支払う保険料の負担が大きくなって、家計の圧迫要因になります。現実的な方法は、保険と貯蓄の併用です。

CFPR、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 株式会社 ワーク・ワークス 代表取締役 中村宏

株式会社ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。

<主な著書>
「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)
「自分のお金の育て方」(祥伝社)

この質問に対するその他のFPの回答

対

推奨

積極的には推奨しない

スポンサーリンク

FPに聞きたい質問を募集中! ※ただいま新規のご質問を制限しております。

歴代の質問
総合TOPへ戻る
  • 保険ソクラテス
スポンサーリンク
ページの先頭へ