学資保険の加入を検討していて、保険相談にいきました。
そうしたら、学資保険ではなく、終身保険を提案されました。
教育資金の積み立てだったら終身保険の方が良いのでしょうか?
(28歳 女性)
ファイナンシャルプランナー キャリアカウンセラー ハートマネー代表 氏家祥美
家計相談を受けていると学資保険などを利用して大学入学に向けて教育費を準備している方が大勢いらっしゃいます。中学高校と教育費をずっと使ってきたところで、大学入学を前にまとまった教育費を保険で準備できていると、キャッシュフロー的にも精神的にもとてもいいことだと思います。
ところが、キャッシュフローを描いてみると、ご家庭によっては学資保険のほかにもある程度まとまったお金が預貯金で準備できていることがあります。
学資保険だと満期を迎えたら自動的に解約になり、最初に予定していた満期金が学資金として口座に振り込まれます。一方、終身保険を学資保険代わりに使う場合には、当初解約予定だった時期を迎えても、解約をする必要がなければそのまま契約を継続することができます。解約しなければ死亡保障はそのまま継続できますし、解約返戻金も年々増えていくのです。
大学入学時に解約する予定で終身保険に加入したけれど、ほかに余裕資金があったので解約時期を大学3年生への進級時まで延ばしたと場合、運用期間が2年間延びるために受け取る解約返戻金が数万円増えることになります。意外とうれしいメリットといえるのではないでしょうか。
あまり考えたくないことではありますが、契約者にもしものことがあったときの保障にについて比べてみましょう。
学資保険に加入して数年後に、契約者が亡くなったとします。育英年金等の無いシンプルな学資保険で300万円を満期金に設定していた場合、亡くなった後は保険料の支払いが免除になって、満期時に300万円を受け取ることができます。親がもしも亡くなってしまっても、確実に教育費を用意できるところが貯蓄に比べた学資保険のメリットになります。
それに対して、終身保険を利用していた場合にはどうなるでしょうか?大学入学時に300万円を用意しようと思うと、保険商品や契約者の年齢、性別にもよりますが、保険金額が500万円前後の終身保険に加入することになります。この場合、亡くなった時に保険料の支払いが終わるのはもちろんのこと、保険金約500万円は、契約者が亡くなったタイミングで受け取ることができます。ほぼ同じ保険料で、将来の教育費300万円とあわせてお葬式代200万円も用意できる計算になります。
お父さんの生命保険は、死亡保障も医療保障もわりと手厚く備えている家庭が多いのに対して、お母さんの死亡保障が手薄な家庭が多いようです。「自分のために余計な保険料を払いたくない」という思いも働いているのではないでしょうか。
しかし、お母さんにもしものことがあった時に困るのは、たいせつな子どもと旦那さんです。専業主婦で家計にお給料を入れる立場でなかったとしても、毎日の食事作りや買い物、子どもの世話、洗濯など、PTA行事への参加など、お母さんが日々している役割はとても大きく、これらをすべて外食やクリーニング、ベビーシッター等にお願いしたら、金額的にも相当な出費となります。
2014年4月より、お母さんが亡くなった場合にも遺族基礎年金が支給されることにやっとなりましたが、それでも子育てのために残業の無い部署に移動したり、転職をしたりしているシングルファザーが多いことを見ると、お母さんにもしものことがあった場合の経済的なダメージが相当なものであると想像できるでしょう。学資準備期間は母親としての役割を大きく求められる時でもありますから、お母さんの死亡保障をぜひ備えておいてください。
すでに十分にお父さんの死亡保障を備えている家庭なら、学資準備目的の終身保険にお母さんを契約者にして加入することをお勧めします。銀行の積立よりもきちんと増える終身保険を選んでおけば、保険料をむだに掛け捨てることなく、子育て期間中の死亡保障をお母さんに備えることができます。
本来の趣旨とはずれてしまいますが、もしも他の余裕資金で学資を賄うことができて、この終身保険を解約しないで済んだときには、終身保険はそのままお母さんの老後の備えにスライドできます。冒頭に申しあげたとおり、解約しない限り保障は一生続きますし、解約返戻金も増えていくので、長生きの女性には老後の安心材料のひとつになることでしょう。
女性のマネープラン、キャリアに強いファイナンシャルプランナーとして2005年より活動。家計や保険の見直し相談のほか、企業や自治体での講演、書籍等の執筆、新聞や女性誌等で情報発信を行う。趣味は旅行と美術館巡り。
<主な著書>
「手取りが減った人のお金のルール」(主婦の友社)
「子どもの年代別 大学に行かせるお金の貯め方」(PHP研究所)ほか
学資保険と終身保険の大きな違いは、資金が手に入る時期が特定されているか否かということ。
使い方や教育プランによっては終身保険も選択肢として有効。
「学資保険」のほうが目的に合致している、内容や使い方がシンプルでわかりやすい、効率的に貯める商品がある。
学資保険は、文字通り、子どもの教育資金を用意するための保険。
学資保険を活用する事で、教育費の確保と他の使途で使うお金とを明確に区分けする事が可能になる。
従来の保険も途中で解約すれば損をするけれど、それ以上に損をするのがこの保険。
例: 「老後」「医療保険」などお悩みで検索
※ただいま新規のご質問を制限しております。