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医療保険に入れない場合、引受基準緩和型保険に入る必要はありますか?

40歳既婚子供無し男性です。
医療保険を検討していたのですが先日、会社の健康診断で尿酸値の判定に引っかかり保険に入ることができませんでした。なので一般の保険は諦めて、引受基準緩和型を検討しています。

しかし、100万円程度はいざという時のために捻出できる蓄えはあるので、一般の医療保険を検討している時でも、果たして加入する必要性はあるのか?お守り程度に入っておいた方が良いのかと考えてしまいます。

一般の医療保険と、引受基準緩和型医療保険の保険料と保障補償内容を考えた時、引受基準緩和型医療保険はおすすめできるものでしょうか?(40歳 男性)

積極的には推奨しない

引受基準緩和型の特徴を理解して、まずは一般の医療保険の申し込みを

AFPFPラウンジ ばっくすてーじ代表 豊田眞弓

生命保険にも、健康体で非喫煙、BMI値が適正(肥満でも痩せすぎでもない)な方の保険料が安くなる仕組みがあります。健康で入院や手術をするリスクが低いと認められる人に保険料を安くするものです。リスクの程度に応じて保険料が決まる商品カテゴリーを「リスク細分型」と言います。

健康で病気になったり亡くなったりするリスクの低い人が保険料が安くなる反面、すでに持病があったり現在受診中だったりすると保険会社さんからはリスクが高いと見られ、一般の保険には入れないこともあります。あるいは、入れたとしても所定の部位が保障されない「部位不担保」(一定期間、あるいは全期間)がつくことがあります。

「引受基準緩和型」は保険料は高くなるものの、そうした人が部位不担保などもなく「もしも」に備える手段の1つと言えます。

引受基準緩和型保険の特徴

ここで簡単に説明しておくと、「引受基準緩和型」は一般の保険よりも引受けてもらえるハードルが低くなる分、保険料が約1.6~2倍と割高になる保険で、「リスク細分型」の一種です。ハードルが低いことの現れとして、告知も3~4項目程度に絞られています。
告知項目は、「3ヵ月以内に医師から入院を勧められたか」「過去2年以内に所定の病気等で入院したことがあるか」「過去5年以内にがん等所定の病気にかかったことがあるか」……など。病気をしていても入れるものの、契約から1年が経過するまでは保障額が半分に抑えられます。

【引受基準緩和型医療保険の特徴】

  • ・保険会社の契約引受け基準が一般の保険に比べて低め
  • ・保険料は割高(一般の保険の約1.6~2倍)
  • ・告知項目が3~4項目程度
  • ・契約から1年経過までは保障額が半分になる

まずは一般の保険に申し込みを

もし、医療保険に入りたい場合でも、検診で引っ掛かったり、あるいは持病や手術の経験があるからといって、最初からこうした引受基準緩和型に限定して申込む必要はありません。病気の種類や内容等によっては一般の保険に入れる場合もありますので、まずは一般の保険に申込んでみて、それがだめなときに、引受基準緩和型を利用する、という順番で考えましょう。

実は、一般の保険の場合、引受基準は保険会社によってちょっとずつ異なります。A社では引受けてもらえなくても、部位不担保がついてもB社なら引受けてもらえる、ということもまれにあります。同じ部位不担保であっても、最後までずっと適用される場合と、「○年間」等の期限がついたりすることもあり、保険会社でさまざまです。
一般の医療保険に入れれば引受基準緩和型は不要ですし、期限付きの部位不担保で入れる場合なども、引受基準緩和型とどちらがいいかをよく検討して選びたいものです。

引受基準については、ネットよりも対面で加入する場合の方がゆるめだと言われています。対面でも保険会社によって異なります。

一般の保険と緩和型保険の比較などについては、サイト内の別ページ過去の病気や持病ありでも入れる『引受基準緩和型保険』ってなに?でも詳しく書かれていますので、そちらもご参考ください。

そもそも保険で備える必要があるかどうかを見極める

最後に最も重要なことを考えてみましょう。「100万円程度はいざという時のために捻出できる蓄えはある」とのことですが、それならそもそも医療保険で備える必要があるかどうかです。

整理しておくと、個人的には、「保険で備えるべきリスク」は次のようなものに絞られると考えます。これを頭に入れて考えてみると、答えが出やすいのではないでしょうか。

【保険で備えるべきケース】

  1. 頻度に関わらず、起きてしまった時の経済的損失が大きい
  2. 「精神安定剤」として保険が必要な場合

持病がある方にとっては、入院や手術は実感できるリスクでしょう。超高齢化の折り、医療費の自己負担は増えると見られていますが、とはいえ日本には「高額療養費制度」があり、入院・手術時の負担はかなり軽減されています。

3割負担でも入院が長引いたり、高額の手術を受ければ負担は大きくなりがちですが、1ヵ月間(1日から31日)にかかった医療費(差額ベッド代や食事療養費等を除く)に上限が設けられているのです。これによって、たとえ医療費が100万円以上かかっても、月9万円程度の負担で済むのです(所得によって異なります)。

この上限額も財源不足でじわじわと上がる傾向にあるので将来まではわかりませんが、現状はそのようになっています。

つまり、入院・手術をしても、高額の差額ベッド代が発生する個室に入ったり、高額の費用がかかる先進医療(国が定めた高度な医療技術。指定病院で受ける必要あり)などを受けることがない限り、さほど大きな負担にはなりませんので、100万円の「自家保険」(=貯蓄)があるなら十分と考えます。

例えば、医療保障専用の通帳を作ってそこに100万円を入れ、表紙に「医療保険」と書いてしまうのも手です。さらに、保険料を払ったと思って積立てるのも1つの方法です。

つまり、保険に精神安定剤効果を求める人や、先進医療保障を特約で付けて医療保険に入りたい、といったニーズがある人以外は、あえて「引受基準緩和型保険」を検討する必要はないのではないでしょうか。

保険への入り方を見ると、人生との向き合い方を現しているようにも思います。自分らしい保険との付き合い方をしてほしいと思っています。

AFPFPラウンジ ばっくすてーじ代表 豊田眞弓

経済誌・経営誌などのライターを経て、1994年より独立系ファイナンシャル・プランナー。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の記事や記事監修などを行っている。95年、保険商品の全社比較を企画・実行して話題に。「保険と人生のほどよい距離感」をモットーに保険相談に臨んでいる。ライフワークとして大人や子どもの金銭教育にも携わっている。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

<主な著書>「いまからはじめる相続対策」 「50代・家計見直し術」 「親の入院・介護が必要になったときに読む本」「住宅ローンは55歳までに返しなさい!」ほか。

<雑誌・テレビ等>「はなまるマーケット」「マネーの知恵袋」新聞各紙、「東洋経済」「ダイヤモンド」「プレジデント」「日経マネー」ほか多数。

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